同じ『博覧会』でも、じつは厳然たるランクがある
ここで重要なのが、万博と地方博の制度的な違いです。国際博覧会には、BIE(博覧会国際事務局)に登録される「登録博覧会(登録博)」と、規模を抑えた「認定博覧会(認定博)」という明確な区分があります。テーマや開催期間、会場規模には一定の国際的ルールがあり、勝手に名乗れるものではありません。
一方で、日本の地方博の多くは、こうした国際的な登録や認定を必要とせず、国内の判断だけで「○○博覧会」と名付けて開催できました。
この“自由さ”が、同時に粗製乱造を招く土壌でもありました。
その結果こんなに開かれたのです。地方博は。
その多く、特に後半はバブル期と重なったためにカネ勘定がユルく、大赤字を出す博覧会もまれではありませんでした。
1980年代に開催された主な地方博覧会一覧(*万博を除く・年代順)
1981年:神戸ポートアイランド博覧会(兵庫県神戸市)
1981年:太陽エネルギーが拓く新時代・仁尾太陽博(香川県仁尾町・仁尾浜)
1982年:北海道博覧会(北海道札幌市)
1983年:’83新潟博覧会(新潟県新潟市)
1983年:大阪城博覧会(大阪府大阪市)
1984年:’84とちぎ博(栃木県宇都宮市・清原工業団地)
1984年:’84小樽博覧会(北海道小樽市)
1984年:名古屋城博(愛知県名古屋市)
1984年:高知空港ジェット機就航記念・黒潮博覧会(高知県高知市)
1984年:国際伝統工芸博覧会・京都(京都府京都市)
1985年:くにうみの祭典・淡路愛ランド博(兵庫県淡路島)
1986年:豊のくに中津大博覧会(大分県中津市)
1986年:北海道21世紀博覧会(北海道岩見沢市)
1986年:秋田博’86(秋田県秋田市)
1987年:葵博・岡崎’87(愛知県岡崎市)
1987年:’87世界古城博覧会(滋賀県彦根市)
1987年:’87未来の東北博覧会(宮城県仙台市)
1987年:天王寺博覧会(大阪府大阪市天王寺区)
1987年:世界歴史都市博(京都府)
1988年:世界・食の祭典(北海道)
1988年:瀬戸大橋架橋記念博覧会(岡山県倉敷市・香川県坂出市)
1988年:北摂・丹波の祭典 ホロンピア’88(兵庫県三田市・篠山町・柏原町)
1988年:21世紀公園都市博覧会(兵庫県三田市)
1988年:ひょうご’88食と緑の博覧会(兵庫県丹南町)
1988年:なら・シルクロード博覧会(奈良県奈良市)
1988年:青函トンネル開通記念博覧会(青森県青森市・北海道函館市)
1988年:ぎふ中部未来博(岐阜県岐阜市)
1988年:食と緑の博覧会いしかわ’88(石川県金沢市)
1988年:’88飛騨・高山 食と緑の博覧会(岐阜県高山市)
1988年:食と緑の博覧会・イートピア栃木’88(栃木県宇都宮市)
1988年:’88さいたま博覧会(埼玉県熊谷市)
1988年:十勝海洋博覧会 HIROO EXPO’88(北海道広尾町)
1989年:アジア太平洋博覧会・よかトピア(福岡県福岡市)
1989年:横浜博覧会 YES’89(神奈川県横浜市)
1989年:松江菓子博(島根県松江市)
1989年:オランダフェスティバル・ダッハらんど’89大阪(大阪府堺市)
1989年:ながさきオランダ村’89(長崎県)
1989年:’89姫路シロトピア博(兵庫県姫路市)
1989年:海と島の博覧会・海島博(広島県広島市・県内沿岸)
1989年:世界デザイン博覧会(愛知県名古屋市)
1989年:’89新潟食と緑の博覧会(新潟県)
1989年:おみやげザ・ワールド(山形県)
1989年:鳥取・世界おもちゃ博覧会(鳥取県鳥取市)
1989年:サザンピア21(鹿児島県鹿児島市)
1989年:SUNPU博’89(静岡駿府博覧会)(静岡県静岡市)
1989年:こうふ博’89(山梨県甲府市)
80年代、本当に信じられない数の地方博が開かれていたのです。
似たような博覧会が全国で同時多発的に開かれるにつれ、人々は次第に気づきます。「どこへ行っても、だいたい同じだ」と。














