【京都大会】京都成章が“ピラニアタックル”で京都工学院にリベンジ

 11月9日(日)には、全国注目の対決、京都成章と京都工学院による京都大会決勝戦が行われました。

 春の選抜大会をはじめ全国の舞台でも結果を残してきた両チームによる11年連続の対決。あいにくの雨の中始まったこの試合は、序盤はキックを使って慎重にエリアを取り合う展開となります。

 京都成章がSO・岡元聡志選手の絶妙の距離に落ちるキックと連動するBK陣でプレッシャーをかけようとすると、京都工学院はSO・杉山祐太朗選手の伸びるキックでエリアを回復するなど一進一退の攻防の中、あっという間に15分が経過します。
京都成章・岡元選手.JPG
 試合が動いたのは17分、それまでキックでエリアを戻していた岡元選手が、京都工学院ディフェンスのギャップを見つけると、迷いなくカウンター攻撃を仕掛けます。自陣から巧みなランニングで京都工学院の陣内に入り込むと、その動きに呼応したFB・春藤大翔選手が一気に敵陣深くまで攻め込みます。最後は、NO8・南川祐樹選手がタッチライン際を快走して右隅にトライ。難しい角度のゴールをCTB・森岡悠良選手が見事に決めて7点をリードしました。

 京都成章は、さらに22分、ピラニアタックルの異名をもつ持ち味の全員が突き刺さるように飛び込んでくるタックルからチャンスをものにします。成章のはやいプレッシャーに、京都工学院が自陣でパスミスを犯すとこのボールに全員が即座に反応します。

 CTB・森岡選手が鋭く強烈なタックルで工学院からボールを奪うと、そこから素早く展開して最後はWTB・尾関仁選手が左隅にトライ。さらに森岡選手が今度は左隅の難しい角度からのゴールを鮮やかに決めて14対0とリードをひろげました。

 森岡選手が「練習で何回も何回もやってきた形この試合で出せてよかった」と振り返った貴重なトライ。京都成章が、積み重ねてきた努力を大一番で発揮しました。

 一方、あっという間に2本のトライを許した京都工学院は、それでも慌てず反撃します。直後のキックオフから京都成章に圧力をかけると、タッチに逃れようとした岡元選手のキックをLO・飯田匡亮選手がチャージし、トライエリアにこぼれたボールをSH・片岡湊志選手が押さえてトライ。14対5とようやく1トライを返しました。

 しかし、追い上げたのも束の間、直後のキックオフから思わぬ形で失点してしまいます。今度は杉山選手がタッチに逃れようとしたキックを、京都成章のSH・佐藤啓護選手にチャージされてそのまま佐藤選手がトライ。瞬く間に19対5と再びリードをひろげられてしまいました。

 京都工学院の大島淳史監督が「成章さんの去年の(リベンジを果たすという)思いが、我々の想定していたものよりも一つしぶとく、一つ激しかった。そのことが、我々が試合を上手く運べなかったことにつながってしまった」と話すと「見えない角度から、凄いスピードでチャージに来られた」と杉山選手が振り返った一撃。このトライが、京都工学院に傾きかけていた試合の流れを、再び京都成章に引き戻しました。

 これで再び14点差とした京都成章は、後半に入ってもキックを上手く使いながら、鋭い出足と強烈なタックルで京都工学院を自陣に押し込んでいきます。京都工学院の粘りのまえに得点こそ奪えないものの、チャンスをつくらせず時間を費やしていきます。

 そして、後半の14分、敵陣中央で京都工学院のペナルティーを誘発すると、森岡選手が落ち着いてPGに成功。22対5として、逆転には3チャンス以上が必要な17点に差を拡げました。

 ゲームキャプテンを務めたLO・土肥祐斗選手や、攻撃をリードしたSO岡元選手が「練習中に怪我をして、この大会には出場できないキャプテンの笹岡空翔選手を花園に連れて行こうというみんなの思いが、チームを一つにして、3年生一人一人の自覚や責任感につながった」と話した京都成章。

 この後、魂の粘りを見せる京都工学院に1トライを許したものの、最後まで全員が勝利への執念をみせて走り切りました。見事に22対12でライバルを振り切って、2大会ぶり17度目の花園への出場権獲得です。

 「今年負けたら終わりだと思っていた。1年間成章のディフェンスを取り戻そうと日々やってきた成果が出た。生徒たちが本当によくやってくれた。花園では60分間しっかりと戦い続けることができるチームをつくって日本一を狙いたい」と話した京都成章・関崎大輔監督。

 一方、2年生の選手たちを集めて、喜びに浸る京都成章の選手たちを目に焼きつけさせていた京都工学院の大島淳史監督。全国屈指のライバル対決は、今年も次の世代へと続くドラマを残して幕を閉じました。