東日本実業団陸上がターニングポイントに

しかし伊澤が自信を持つまでには、2つの失敗があった。1つは前述の大阪国際女子マラソン、もう1つは4月の日本選手権10000mである。大阪は東京2025世界陸上代表が確実になる「2時間19分台で優勝」を狙っていた。日本選手権は2位以内に入れば、5月末のアジア選手権代表に選ばれた。アジア選手権でも上位に入れば、やはり東京世界陸上代表入りの可能性があったが、日本選手権で32分38秒12の7位と敗れ代表への道は途切れた。

弘山監督が次のように説明した。「10000mでもチャンスはあったと思うんですが、大阪の失敗を引きずっていました。頑張ってもまた失敗するんじゃないか、ということを口にしたこともありましたね。大阪を走ってマラソンへの気持ちが大きくなったことで、トラックの代表を狙う気持ちが中途半端になった可能性もあります。しかし東日本実業団がターニングポイントになりました。練習したことが結果につながること、練習を続けていけばマラソンにもつながることを感じられたのだと思います」。