全国的にクマによる被害が相次ぐ中、16日午前11時ごろ、岩手県北上市の温泉施設から「露天風呂の清掃をしていた男性従業員の姿が見えない」と警察に通報がありました。露天風呂には血痕があり、警察は現場の状況などから男性がクマに襲われ、連れ去られたとみています。

すぐ目の前に見えるのが、現場となった温泉施設の入り口です。警察による規制が続いていて、およそ200メートル先の施設に近づくことはできません。警察からはなるべく車の外に出ないようにと取材陣に要請があり、安全のため車の中からお伝えしています。

警察と猟友会による男性の捜索は日没前に打ち切られました。17日は午前8時から捜索が再開され、露天風呂の周辺とともに、近くを流れる川沿いを捜索する可能性があるということです。

温泉施設関係者
「露天風呂の清掃をしていた男性従業員の姿が見えない」

こう警察に通報があったのは16日午前11時ごろ。場所は岩手県北上市にある瀬美温泉の露天風呂です。清掃をしていた男性従業員(60)が行方不明になったのです。残されていたのは血痕。そして清掃道具が散乱していました。警察はクマに襲われ、連れ去られた可能性が高いとみて男性を捜しています。

現場となった露天風呂は近くには川が流れていて、あとは森林がひろがるだけ。この影響で宿泊をキャンセルする人も出ています。

宿泊をキャンセルした人
「規制線がいつ外れるか聞いたが、まだ分からないということでキャンセルした」

北上市では今月8日にもキノコ狩りに出かけた70代男性がクマに襲われ、亡くなっています。場所は瀬美温泉から2キロほどの場所で、警察は同一個体の可能性もあるとみています。
 
クマによる被害は山の中だけではありません。秋田県では散歩中の82歳の女性が襲われ、けが。群馬県ではスーパーに現れ、客などを襲いました。防犯カメラの映像から体長1.4メートルほどの成獣とみられています。福島市ではホテルの立体駐車場に出没。隣にある高齢者施設の屋上と駐車場を行き来し、その後、姿を消しました。

その福島県。16日未明から相次いで3人が襲われています。そのうちの1人は国道を歩いていたところ、畑から突然出てきたクマに襲われました。

助けを求められた人
「顔だけかな、やられていたの。顔は血がべったりになっていたから、だいぶ顔を引っかかれたんじゃないの」

男性は手や顔にけがをしましたが、命に別状はないということです。

全国で相次ぐ被害。今年度クマに襲われて死亡した人は7人。これまでで最も多かった2023年度の6人を上回り、過去最多となりました。

地域別では、北海道と岩手県で2人、秋田県、宮城県、長野県でそれぞれ1人となっています。

記者
「現場は山に面した住宅街です。規制線が張られ、ものものしい雰囲気を感じます」
「午後3時半前です。いま2発ほど銃声が聞こえました」

札幌市では16日、ハンターがクマ1頭を駆除しました。体長およそ75センチ、今年生まれた個体だとみられています。市内では、このクマとみられる目撃が相次いでいました。 

クマを目撃した男の子
「この辺で見た」

男の子は、野球の朝練習から自宅に戻ってきた時に目撃したと言います。

クマを目撃した男の子
「そこの木で何か食べていた」

けがが無かったことに、父は胸をなで下ろします。

男児の父親
「あと数分違っていたら、鉢合わせていた可能性も。考えると恐ろしい」

出没を受け、近くの小中学校は臨時休校となりました。

クマはこれから冬眠に備えてエサを探すなど動きが活発になるとみられていて、環境省は注意を呼びかけています。