クイーンズ駅伝最下位のチームがプリンセス駅伝優勝を目標に

プリンセス駅伝で伊澤が走るのは1区(7.0km)か3区(10.7km)。1区であれば「最初から自分でペースを刻んで、速いペースを怖れず押していきます」(伊澤)という走り方をする。3区なら「前に選手がいたら全員を抜いてトップに出ること」が求められていると自覚している。

弘山監督が就任して2年目。昨年は15位でクイーンズ駅伝出場を決めたが、今年は優勝を目標としている。関西外語大から入社1年目の三輪南菜子(23)と、順大から入社7年目の西川真由(28)が主要区間の1、3、5区候補だ。

伊澤は「新人も3人入ってチームの雰囲気が良くなって、昨年とは比べものにならないところを目指すチームになっている」と言う。復帰1年目の昨年も、キャプテンとしてチームをまとめようとしたが、「まずは自分が結果を出す」気持ちが強かった。今年は自身の昨年のレース経験、引退する前に苦しんでいた頃の気持ちなどを、積極的にメンバーに話すようになった。

「4月からプリンセス駅伝の優勝を目標にやってきました」と弘山監督。「三輪はフォームとスピードに課題はありますが、力を付けてきました。西川はケガで昨年は駅伝に出られませんでしたが、能力はすごく高い選手です。全日本実業団陸上5000mでは、自分で引っ張って15分台(15分56秒04)で走りました。チーム力は昨年より何段階もアップしています。伊澤という大砲がいて、1区か3区でトップに立つことができる。インターナショナル区間の4区でも、(ワングイ・エスター・)ワンブイ(22)が期待できます。西川たちがエースをどう生かすかを意識して、何をするか。そこができたとき優勝も手が届く目標になりますし、優勝できなかったときは自分たちが何をすべきかが明確になります」。

昨年はクイーンズ駅伝で最下位の24位だったスターツが、伊澤効果が浸透した今季は、プリンセス駅伝のトップ通過を目指すチームに変貌した。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
※写真は今年1月の大阪国際女子マラソンを走る伊澤選手