事件の捜査とは、常に生身の人間を相手に行われる。
だからこそ、捜査対象のキーマンの死が事件の流れを大きく変えることがある。
「総会屋事件」は、4大証券会社から第一勧銀へと波及し、やがて「大蔵省接待汚職事件」へと発展していった。そうした中、自民党の新井将敬衆議院議員が日興証券に対し、利益供与を要求していたという容疑が浮上する。
東京地検特捜部は、日興証券元役員の供述などから、新井が利益供与を要求したうえで「証拠隠滅工作」を図っていたことを突き止め、国会の会期中に逮捕する方針を固めた。
しかし、新井議員は東京地検への出頭を目前に、東京・品川区のホテルで自ら命を絶った。
政治家と東京地検特捜部の攻防ーー水面下でいったい何が起きていたのか。捜査関係者の“肉声”や取材メモをもとに、封印されていた捜査の舞台裏を検証する。














