今年、設立100周年を迎えた「アース製薬」。言わずと知れた「虫ケア用品」 の国内シェアトップのメーカーだ。積極的なM&Aを展開し、入浴剤やオーラルケア用品など幅広い製品を扱う会社に成長を遂げた。

 それまでオーナー一族が社長を務めていたが、2014年に生え抜き社員として初めて社長になった川端克宜社長。攻めの経営で業績を拡大させてきた。最近では、大阪・関西万博で大量に発生した「ユスリカ」対策に一役買うことでも話題に。

 「外国製品に負けない国産品を世界に広める」という思いを社名に込め、「アース製薬は面白いことをする会社だと評価されたら一番嬉しい」と話す川端社長に、「殺虫剤」から「虫ケア用品」に呼び名を変えた理由や、次の100年を見据えた戦略を聞いた。

生まれた直後に命の危機 父親や親戚たちが尽力

趣味は地球儀集め

―――地球儀を集めるのが趣味だとか?

 50個以上は、あると思います 。社長室にもいくつか置いています。珍しい地球儀を見つけてはいろいろ買い、たくさんの数になったという感じなんですよ。「アース製薬だから地球儀を集めているのですか?」とよく聞かれるんですが、集め出したのは入社前からで、たまたま入った会社がアース製薬だったということです。

少年時代の川端社長

―――どんな子ども時代を過ごされたのですか?

 生まれてすぐに黄疸が酷くて医者からは「もうだめですよ」と言われ、母も涙を流し、すぐに100%輸血が必要となり隔離されました。 父親や親戚で血液型が合う人を集めて、全部血を入れ替えるというのを生まれてすぐに経験しています。みなさんの協力で、助かる確率は低いと医者から言われたのに、いまお陰さまでこの歳までになったことにまず感謝です。感謝というより一度死んだと思えば「何事もたいしたことはない」と思えます。

―――入社して営業職が希望だったとか?

 自分らしく言わせてもらうと営業職しかやることがなかったということです。理系の学部を出ているわけではありませんし、資格を持っているわけでも手に職がある学生時代を過ごしたわけでもありませんので。自然な流れで営業職になった感じです。