社長就任早々、大型M&Aの決断を迫られる

海外向け製品も製造

―――いままでで大きな決断は?

 社長になった最初の役員会議で、どうやって 進行すればいいのかもかも分からない時に、現グループ会社の白元アースの買収案件が議題にありました。42歳の時です。案件が案件で、それこそ失敗したら会社が転ぶような案件ですから。新入社員に「失敗はどんどんしたらエエよ」というのとは違いますからね。それが社長としての大きな決断ですかね。「社長に就任したばかりの人に判断を任せるか?」という話ですが、いまとなってはありがたい経験となっています。

―――いまは、白元アースも収益を上げていますね?

 いまでは、こうして話をさせていただけるようになりましたが、当時は必死ですよね。必死を通り越していたかも分かりませんね。その後もいろいろな企業のM&Aをしていますが、企業の成長戦略の中でタイミングがあってまさに縁のたまものがM&Aなんですよ。「この会社が欲しい」と言っても買い物ではないので、簡単に買えるわけではありませんし、タイミングとか向こうの意向とか、いろんなことがあります。

―――M&Aも縁が大事だと?

 「あの時は欲しかったけどいまは要らない」とか「あの時は売る気はなかったけどいまは売りたい」とか、タイミングがずれると成立しないじゃないですか。だからタイミングが本当に合わないと。それが上手く合うとお互いにシナジーを生んでいくと考えています。そして、ひとつ良い成功事例ができると周りにも「アース製薬はM&Aに興味があるんだ」と思っていただけると思うんです。私が社長になってから数年間は、そういった縁が多くありました。