◆憎しみで殴るという気持ちはなく

3番目に殺害されたロイド兵曹

2、「打擲(だてき)し」という部分について私が現場に着いた時は、2人の飛行士の処刑は終わり、3人目の飛行士は柱に縛られていました。これに近づいて右手で持っていた懐中電灯で飛行士の体を照らして見ると、日本国民兵や補充兵に比べて、立派な体格をしていたので、私は思わず「良い体格だ」と云って我知らず無意識に左手に持っていた物差し棒で、彼の右足、膝(判読不明)のであります。この物差しは、始終私は持っていて(判読不明)木製のものであります。この時の私の気持ちは相手に憎しみとか苦痛を与えようというような気はなく、人を呼ぶ時などに肩を叩くのと同様の気で、殴るという気持ちはありませんでした。この事はその時、私の傍にいた○○、成迫、その他、私の近くにいた者は皆知っていることと思います。

◆口述書に偽りを書いた

福岡で調査の際は私が何遍、真実の事を話しても、他の者がお前が殴ったと云う、お前が嘘をついていると云って、調査官に右手で首を絞められ、左手で頬を殴られ、私は真実を話しているのに、真実を云わなければ、いつまでも刑務所に入れて置くと云われましたので、私は致し方なく真実でない、自発的に2回殴ったと口述書には偽りを書きました。私の持っていた物差しは、被告人の○○が作ったものであります。彼は良く知っています。

◆藤中の一突で・・・

福岡の土手町刑務支所

3、「且つ之を銃剣をもって突刺したる事により、該俘虜を故意且つ不法に虐待酷遇し、殺害し、且つ死体を毀損せり」という部分について突刺の時の状況を申し上げます。榎本中尉の「皆突け」という命令で、一番に藤中が突刺しました。この時、飛行士が「ガクン」として頭を前に倒し、体全体の力が抜け、膝は曲がりました。藤中の一突で完全に死んだと確信しています。この事は、現場にいた皆の者が良く知っていると思います。二番目に成迫が突刺しました。この時、飛行士の体には何の反応もなく、前同様だらりとして居りました。次に榎本中尉が、説明をして突刺しましたが、飛行士の体は何の反応もありませんでした。