それは沖縄市内で唯一、校内に60年近く単独の調理場があること。諸見小学校では、調理場がある強みを生かし、日々給食に思いを込めて献立作りに取り組んできました。

7年ほど前から続けている、諸見小学校独自の「リクエスト献立」。毎日、給食委員が残った給食の量をチェックし、完食したクラスには「すっから缶賞」として、献立をリクエストできる仕組みになっています。
「すっから缶賞」を設けたことで、見違えるように残量が減ったといいます。
栄養士 松田さん
「取り組みをしていったら、かなり本当に残量が半分以下くらいになって、去年おととしくらいから、ポリ容器でも底が見えるくらいしか残量が残らなくて、とても効果がありました」

こちらは「絵本献立」。子どもたちが選んだ絵本の中のモチーフを再現して作られています。
おばけなどの形にかたどられた人参も、単独調理場ならではの手の込んだ一品です。

諸見小学校が取り組んできた、独自のメニューは他にも!防災意識を高めてもらおうと行っている「防災給食」。給食を食べることが、防災について考えることにもつながっています。

さらに毎月19日の食育の日に合わせ、独自に「ぬちぐすい献立」と銘打ち、家庭でなかなか作られなくなった沖縄料理や、郷土料理を知ってもらいたいという思いで、ふんだんに沖縄料理を取り入れています。

栄養士 松田さん
「学校でしかこの料理、沖縄料理を食べたことがない子も中にはいるので、給食ではこうゆうのがあるんだよ、こういう行事の時には、こういう食事をとるんだよって教えながら取り組んでいます」
しかし調理場の老朽化に伴い、7月をもって単独調理場としての役目を終えることになりました。60年近い調理場に歴史に幕を下ろし、新たに大きな調理場へと統合されます。

栄養士になって5年目の比嘉正成さんは、これまでの伝統を守りつつ、最後まで楽しく給食を食べてほしいと子どもたちに積極的に声をかけてきました。
比嘉さんインタ
「直接子どもたちを見られない、調理場が移っても給食は届けることはできるんですけど、
この近さで提供できるって会えるって単独調理場の強みというか独特だと思うので、調理員含め、私も寂しいですね」

この日は、諸見調理場で作る最後の給食、メニューは、「絵本献立」から、“おばけカツカレー"と、「すっから缶賞」を獲得した、6年1組のリクエストの“シークワーサーシャーベット”。
子どもたち、噛みしめて最後の給食をほおばります。
児童
「作ったばっかりだからものすごく温かいところ。諸見小の給食が一番美味しいって言われているから無くなるのは寂しい」

最後のこの日は、生徒たちから感謝のセレモニーが行われました。
栄養士 比嘉さん
「日々給食を食べている時に、感じてもらってそれが行動に表れたり、子どもたちの成長につながるのかなと今の諸見っ子は根付いてますから、ご飯を感謝して頂く態勢はついていますので、1年経っても2年経っても忘れないで育んでいってもらえたら嬉しいですね」。
食べることを通じて得られた学びと愛情を込めて作られた味は、生徒たちの記憶に深く刻まれ、受け継がれていくことでしょう。