沖縄本島の北部に位置する伊江島。その島には「幻の帽子」があります。戦前、県内各地で盛んに作られていたアダン葉帽。戦後は販路を失い姿を消してしまいましたが、その特殊な技法は伊江島に受け継がれ、今でも脈々と伝統を紡いでいます。
一時は砂糖に次ぐ特産品も姿を消したアダン葉帽
那覇市からおよそ3時間、車とフェリーを乗り継いで到着した伊江島。出迎えてくれたのは屋嘉比りささんです。

屋嘉比さんが地元の仲間とともに作っているのがアダンが原料の「アダン葉帽」。別名パナマ帽とも呼ばれます。
比嘉リポーター「あのアダンから生まれているんですか?」
屋嘉比さん「そうです。青々しい、あの硬い葉っぱから、このような美しい帽子が生まれています」
アダン葉帽は、およそ120年前に製法が考案されて県内各地に広まったもので、欧米諸国に輸出され、砂糖に次ぐ特産品にまで成長します。しかし、日本が満州事変や日中戦争などで国際的に孤立していくと、販路を失い次第に衰退。

戦後、すっかり姿を消し、幻の帽子となったのです。