
これは2017年に県内の漁船で撮影された写真です。甲板を埋め尽くすのはアオウミガメ。
漁業関係者によるとこうした光景はほかの場所でも見られるといいます。
櫻井記者
「こちらの海岸からおよそ50メートル付近の沖合で30匹以上のウミガメが瀕死の状態で発見されました。」
今月14日、久米島町の海で少なくとも30匹のアオウミガメが瀕死や既に死んでいる状態で見つかりました。発見されたアオウミガメについては漁師の1人が「網にからまり仕方なく駆除した」という趣旨の話しており、関与を認めています。
アオウミガメをめぐっては今、生息数の増加に伴い、漁業での被害が多発しているとの声があがっています。

久米島の漁業者
「(今回の件)はたまたま刺し網にかかったから今回はやったんじゃないかと思うけど」
「刺し網にかかって、本当に久米島ではアオウミガメが多くなってきて、モズクから藻が全部食われて、天然のモズクも生えなくなっている。すごい被害があるよ。本当に増えすぎているのは現実」
増加が懸念されるアオウミガメ。しかしアオウミガメを含むウミガメ類は環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているほか、漁業法などで許可なしでの採捕が禁じられていて、保護の対象ともなっています。
日本ウミガメ協議会 若月元樹 理事
「ウミガメは以前からパンダと同じぐらいの価値観で扱われてきた動物であることは間違いない」
保護の対象となるアオウミガメ。漁業現場では今、どのように扱われているのでしょうかー

これはマグロやサバなどを捕るために沖合に設置された定置網の海中映像です。マグロやアジの仲間とともに泳ぐのはアオウミガメ。大きな個体が優雅に泳いでいます。そして定置網内では1匹だけでなく複数の個体が確認できました。
定置網の漁業関係者
「一番よく見るのがアオウミガメがほとんどです。多い時で1回の漁で10匹から15匹弱ぐらいかかります。今この時期(7月)が多い。夏場が多いかなという感じです。他の魚を傷つけてしまったり、網をやぶってしまうこともあるので多いと大変です」
漁でアオウミガメがかかるのは夏の時期が多く、ほかの魚を傷つけたり、網を壊したりすることから漁の妨げになっていると話します。
定置網の漁業関係者
「僕らの場合は傷つけないようにロープで動きをとめて、また網から離れた場所で逃がすような感じです」
この定置網の漁師はウミガメが混じって捕れた場合、一匹ずつ慎重に逃がしていると話しました。