爆発的な繁殖力の理由

シミの中でもニュウハクシミを特に危険視する理由は、その繁殖力の高さにあります。

オスとメスが揃わなければ繁殖できない在来種のシミとは、増え方が全く異なるのです。

在来種のシミ(写真上)と ニュウハクシミ(写真下) (提供:東京文化財研究所)

佐藤さん「ニュウハクシミは『単為生殖』、つまりメスだけで子孫を残すことができます。生まれてくる子どもはすべてメスで、その子ども達も、また卵を産んでメスを増やしていきます」

ニュウハクシミは孵化して1年で成虫となり、年に2回、1度に約10個の卵を産みます。

たった1匹のニュウハクシミが施設に侵入した場合、1年後には約130匹、3年後には約2万匹以上にまで増える可能性があるのです。

ニュウハクシミ(提供:東京文化財研究所)

これまで文化財への直接的な被害は確認されていませんが、東文研はこの繁殖力に強く警鐘を鳴らします。

佐藤さん「いったん施設に定着してしまうと、その後の防除は極めて困難になります。そのため、早期発見・早期対処が何よりも重要です」