参政党当選者にも聞いてみた
RKBテレビの選挙特番で、スタジオで解説しました。一緒に出演した九州大学理事の元村有希子さんとは、前職の毎日新聞で福岡総局勤務時代に隣の席で仕事をしていました。その元村さんと、福岡県選挙区で初当選した参政党の中田優子さんに中継をつないで質問しました。
【中田優子さん】
1989年福岡市生まれ。シングルマザーとして子育てと仕事を両立。飲食・美容業界を経て、宅地建物取引士。不動産の現場で暮らしの矛盾を感じ政治を志す。参議院福岡県選挙区(改選3議席)で2位当選。
元村有希子:これから6年間の任期があります。総選挙もありませんし、じっくりと政策に取り組めると思います。一番取り組みたい、あるいは貢献できると思っている点は、どういうところでしょうか?
中田優子:まずは、減税政策。皆様の手元に残るお金を増やしていく。経済政策をまず先に進めていきたいと思っています。そして、子育て世帯の目線、母親としての子育て支援、教育の問題、そして不動産従事者としての移民や、不動産関係ですね、土地・建物・会社の買収、こういった問題に関しても同時に進めていきたいと思っております。(CMに入るジングル音)
沖縄戦への認識 代表と「全く同じ」
ここでテレビの放送ではCMに入ってしまったのですが、まだ中継はつながっていました。私は「参政党の神谷代表は、『戦争中、日本軍は沖縄の人々を救うために沖縄に行った』と発言されましたね。中田さんはどのように考えておられますか?」と聞きました。
中田:そうですね、全く同じように思っています。「国民を救うために助けに行った」という認識です。
神戸:実際には、沖縄ではそう思われていません。
中田:もう一度、よろしいですか。
神戸:沖縄では、日本軍が自分たちを助けに来た、とは思っていないんです。神谷さんの発言には猛反発が起きていますよ。
中田:はい。そうですね、やはり今まで伝えてきた、表向きと言ったらあれですけど、その歴史認識も2パターンあると思いますので、そういったことが起きても仕方ないですし、そういったことも含めて、これから正しい歴史認識を皆様に1人でも多くの方に行っていくのが、我々の使命であるとも考えております。
神戸:あの、まともな歴史学者で、そういうふうに言う人はほぼいません。残念ながら、もう少し歴史を勉強された方がよいと思います。
中田:はい。ありがとうございます。はい。
CM中で放送されていないのですが、こんなやり取りがあったのです。中田さんの言う「そういったこと」とは、「助けに来たとは思っていない、と沖縄が思っていること」を指しているのか、「猛反発が起きていること」なのか分かりませんでしたが、「そういったことが起きても仕方ないし、これから正しい歴史認識を皆様に1人でも多くの方に行っていくのが我々の使命でもあるとも考えております」という話。これは、沖縄の人が聞いたら怒ると思います。
沖縄の守備隊は懸命に戦った。だけど、国が潰れるのを何とか防ごうとしていたわけで、目の前にいる人たちを助けることが目的ではなかった。だから、住民に「壕(ガマ)から出て行け」と言い、泣いている子どもを見て、「ちゃんと始末しろ」とか、そういう流れの中で、住民の集団死に関して日本軍が関与したことは、否定できない事実です。
沖縄史の研究者たちはいろいろな証言を集めて、明らかに沖縄は本土のための捨て石になっていった、と考えています。「住民に向かって『2パターンある』という言い方は、ちょっとあり得ない」と、私は思いました。
※時間がなかったので放送では省略しましたが、沖縄自民党県連幹事長で、当時の大田昌秀知事を攻撃して追い落とした翁長雄志さん(のちに県知事)が立場を変えたのも、こうした歴史修正主義のためでした。2007年、沖縄戦で起きた住民の集団自決に日本軍が関与した、という記述が、高校の教科書から削除・修正されました。沖縄では、保守系も含めて、抗議する11万人の大集会が開かれ、若者から「私たちのおじい、おばあがうそをついているというのか」という叫びが上がりました。翁長さんは保守の立場なのに、「沖縄のアイデンティティに関わる」と先頭に立って反対しています。














