「批判」を「攻撃」とみなして力に

オールドメディアから批判が出ると、参政党は「攻撃」と捉えて反発する姿勢を取り、トゲを出して身構えてしまう。言わない方がいいのか、言った方がいいのか、私たちも悩んでいます。攻撃というより、ちゃんと事実に即した話をしてほしいと思っているわけです。

外国人の犯罪が増えている事実も全くなく、むしろ刑法犯はすごく減っているのは統計上明らかです。何となくイメージで語ることが多いので、それを見聞きして「そうだよね」と、元々ある不安・不満に少しずつ火がついている人が多い気がします。

※外国人刑法犯検挙件数の推移 2005年に4万件超だった外国人刑法犯の検挙件数は、2023年に1万5,000件超に減少。

参政党に投票した方々を否定するわけではないのですが、言っていることが正しいのかを検証するために、やはりメディアが何かしないといけないと思っています。TBSテレビの『報道特集』も一生懸命頑張っています。

「選挙運動の名のもとに露骨なヘイトスピーチが」参議院選挙 急浮上の争点”外国人政策”に高まる不安の声【報道特集】(7月12日放送)

選挙期間中にここまで踏み込んだ報道をすることは、今までではあり得なかったと思いますが、やはり問題点はきちんと提示すべきでしょう。そうでないと、一気に流れが起きてしまったのに、実は根拠が薄かったりすることになります。

兵庫県知事選挙のように、デマで人の命まで失われてしまう時代になっています。取材して「違うな」と思ったことを、私たちはちゃんと言わなければいけない。そのうちの一つが、『報道特集』の姿勢です。毅然としていて、「よくやったな」と思います。やればやるほど攻撃を受けるのも分かっていますが、社会的公正のために誠実な報道をしようとした、と私は受け止めています。

これから参政党が国政政党としてどう振る舞っていくのか。代表がどんな発言をしていくのか。非常に注目されます。「今まで通りでいいのか」が求められていくのではないでしょうか。少なくとも、沖縄に関してこういった空想のような日本史の姿を描かないでほしい。「事実と全くかけ離れている」と言っておきたいと思います。

◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)

1967年生まれ。学生時代は日本史学を専攻(社会思想史、ファシズム史など)。毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。東京社会部勤務を経てRKBに転職。やまゆり園事件やヘイトスピーチを題材にしたドキュメンタリー映画『リリアンの揺りかご』(2024年)は各種サブスクで視聴可能。5月末放送のラジオドキュメンタリー『家族になろう ~「子どもの村福岡」の暮らし~』は、ポッドキャストで公開中。