チームが“一塊”となる伝統のモール攻撃で劇的な逆転トライ

 サイドのかわった後半、先にペースをつかんだのはハミルトンボーイズでした。風下の中、確実にボールをつないで御所実陣内深くまで攻め込むと、後半2分にPGで3点を追加。6分には連続して素早くボールをリサイクルしていく得意の形から、PR ダールヘイデン選手が中央にトライ、ゴールも決めて29対15として勝負の流れを引き寄せたかにみえました。

 しかし、ここから御所実が驚異の粘りをみせます。11分に、FB富田選手のこの日2本目のトライで29対20と9点差に詰め寄ると、その後は風上を上手く利用してキックでエリアを確保しながら、ディフェンスでプレッシャーをかけてハミルトンボーイズを自陣の深い位置まで押し込んでいきます。

 そして後半の20分、中俣選手の絶妙のキックでトライエリアまであとわずかまで迫ると、ラインアウトからのモールを一気に押し込んでトライ。富田選手がゴールも決めて29対27、ついにPGでも逆転可能な2点差まで迫りました。

 ロスタイムも含めて残り時間は約5分。逃げ切りを図るハミルトンボーイズと逆転を狙う御所実。手に汗握る攻防が続きます。2点差のまま試合は後半のロスタイムへ。ここで、ハミルトンボーイズが自陣でハイタックルの反則、やや右よりゴールまで35m付近で御所実にチャンスが訪れます。この場面で御所実はPGを狙わずにタッチキックを選択。鍛え上げてきた伝統のラインアウトからのモール攻撃に全てをかけます。そして、まさにラストワンプレー、トライラインまで15m付近のラインアウトからモールをつくると、大型選手を揃えた相手に対してFW全員が一塊となってじわじわと押し込んでいきます。

 最後はFW陣だけでなくBK陣もモールに加わって劇的な逆転トライ。32対29、御所実がニュージーランドの強豪相手に鮮やかな逆転勝ちを収めました。前日の東海大相模戦に続く激闘を制してグループリーグ2連勝です。