農家が減っても強い!?「国内銀行として3大メガバンク並み」
では、JAも組織として縮小していったのかといえば、そんなことはありません。
JAには、「正組合員」と「准組合員」の2種類の組合員がいます。これは、JAが誕生する以前の話で出てきた「農会」と「産業組合」がもとになっていて、農家は「正組合員」、非農家は「准組合員」という分け方です。現在、組合員数は正組合員が約390万人に対して准組合員は約630万人います。歴史的な経緯で准組合員が多いとも言えますが、農家が減ってもJAが政治的な力を保つために准組合員を増やしたと指摘する人もいます。
窪田氏によりますと、准組合員になると以下のようなメリットがあるということです。
■バンク・保険の利用…銀行の支店が少ない地方ではJAバンクが一番近いケースが多い
■農協主催のイベントや贈答品
■人間関係…地方では独居の高齢者の見回りなど
また、JAは貯金高が108兆円で、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は「国内銀行として3大メガバンク並み」だといい、ニューヨークでは最強の機関投資家の一つだということです。
一方でこんな現実も。JAの利益構造は、主軸のイメージがある農業関連事業・生活関連事業・営農指導事業は実は全て赤字。信用事業(銀行)や共済事業(保険)による利益でまかなわれています。農業技術向上などは、JAのおかげで税金がかからずに済んでいるという考え方もありますが、一方で民間企業ならもっと効率化できるのではないかという指摘もあります。