「消す必要ない」墨塗りは誰が?

空襲警報などで、終戦間際には学業どころではなかったことがうかがえる日誌。溝渕廣という教師の名前も記されていました。
溝渕清彦さん(81)は終戦当時、2歳でした。旧大津小学校に勤めていた母親の廣さん。その名前が書かれた日誌が見つかったことについて…

田村清彦さん
「すごいことだと思いました。(日誌に)おふくろの名前が残っているのは、知りませんでしたけどね。残したものって本当に大事ですね」

大人になり、自身も教師の道を進んだ清彦さん。廣さんら当時の教師たちが記した日誌が墨塗りされた理由を知りたいと話します。
田村清彦さん
「消したのはおふくろではないと思うんですね。(敵機が)来たことをなんで消さなきゃいけないのか、ということなんです。消す必要がないと思うんです、僕はね。GHQが書いているからといって罰するか、とは思うんだけど。怖かったんじゃないでしょうか、書いていること自体が。上からの指令があったんだろうか」

戦後GHQの統制下で、軍国主義的な教科書の内容が墨で黒く塗られました。一方、学校日誌については今まさに研究が進められているといいます。
学習院大学 斉藤利彦 名誉教授
「敗戦直後に学校日誌を軍国主義教育の証拠を残さない、という意味で燃やしたケースもあるんです。戦災で校舎ごと燃えたり、戦後の統廃合の中で破棄されてしまったり。(学校日誌が)ほとんど残っていない地域もある。見つけるのも大変なんですね」