60万人以上の日本人が旧ソ連軍に連行され、戦後も強制的に働かされた『シベリア抑留』では、過酷な労働や飢えなどに苦しんだ多くの命が失われました。

帰国を果たした父親の口からは、そんなシベリア抑留のことが語られることはほとんどありませんでした。

ところが今からおよそ2年半前、新潟市江南区の神田勝郎さんは、自宅の蔵にお米を取りに行った時に偶然、亡くなった父・正平さんが語ることのなかった“記憶”に思いがけず触れることになるのです。

「お米を取りに来たんだけども、なぜかそこに目は行かず…。父の書棚に、ここの上の方に、これが他のものと一緒に束ねたまま、紐か何かで縛ってありました」

題名は『我が思い出の記』。

帰国後に、父・正平さんがシベリア抑留の記憶を綴った手記です。

これを見つけたのは、ロシアによるウクライナ侵攻が始まるわずか1か月前のことだったそうです。

「何かタイミング的に、父が私にね、これを見つけなさいと。そういう天の啓示じゃないけども、何かインスピレーションが浮かんだのかなと思ったんですけどね」