◆日本再建の為に極めて有用な青年

そして嘆願書の最後に、「日本再建のために極めて有用な青年」として、3人に言及する。
<嘆願書>
最後に本件被告人中、将来の日本再建の為に極めて有用な青年である、井上勝太郎君、幕田稔君、及び田口泰正君3人の為に言及する事を許して戴きます
◆やむを得ず任命された23歳の副長
最初は、副長の井上勝太郎大尉だ。
<嘆願書>
井上勝太郎君は本事件の発生した1945年4月には、数え年で23才の海軍大尉であり、石垣島警備隊の副長の職にありました
本来同隊の副長は海軍定員令の規定によれば、海軍中佐又は海軍少佐を以て充てられなければならなかったのですが、極端に人員の不足していた当時の日本海軍ではやむを得ず、そのような経験の浅い若い士官を、その職に任命しなければならなかったのであります
従って、当時、数え年で48才の、経験に富む海軍大佐の司令を補佐する事は、彼には重きに過ぎる任務であり、司令としても彼の補佐をそれほど期待してはいなかったと思われます
副長の任務は司令を補佐し、常に司令の希望を知り、この達成に務め、隊員をして隊内の規則を遵守させ、司令の命令を執行させることにありました