◆命令されたら、やらざるを得なかった

炭床静男兵曹長の次男・健二さんと三男・さんは、裁判記録から父が事件に関わった当時の状況を知って、次のように感想を述べた。
次男・健二さん「そのときに私も同じ状態になったら、命令されたら仕方ないですよね、ひとりだけ独特な行動をして逃げるわけにいかないでしょう。逃げたら卑怯者というふうになるわけですから、おやじの気持ちもわかりますよ。戦争という大きな国の中で動いているわけだから、命令されたらやらざるを得ないというのが本音じゃないですかね。それが戦争という状況でしょうからね」
三男・浩さん「父が酔っ払った時に、上官の命令は絶対だという時代があったんだというようなことを、時々言っていました。いま思えば、事件のことも含めてそう言っていたんだと思いますが、その当時は子供だったから、意味は分からなかった」
静男にしてみれば、軍人として命令を忠実に守ったということだったのだろう。元警察官の健二さんは、
次男・健二さん「だからわかりますよ、おやじのやったことは理解できる。今はやっちゃいけないことですけど、当時としてはやるでしょうね、やっぱり。私も命令されたら逃げられんですから」