■「地震が一番怖いのでブロック塀はない方がいい」
大分市在住の平野邦子さん(85)は去年5月、市の補助事業を活用し、およそ20万円かけて自宅前にあったブロック塀の撤去工事を行いました。平野さんがブロック塀を撤去しようと思ったきっかけは、4年前の大阪北部地震で女子児童が倒壊したブロック塀の下敷きになり亡くなったことでした。
(平野邦子さん)「ここは通学路で子どもたちが朝通るので、もし何かあったときはどうしようと思った」
平野さんは通学する児童の姿を見るたびにブロック塀が倒壊しないか不安な気持ちでしたが、今では笑顔で見守ることができるようになったといいます。
(平野邦子さん)「少しは安心した。地震が一番怖いのでブロック塀はない方がいい」
■倒壊のおそれがあるブロック塀の撤去 なぜ進まない?
民間のブロック塀の撤去は、所有者の責任で行われます。自治体が強制で実施できないため、「危険なブロック塀」の実態を把握することが難しいのが現状です。さらにやっかいな問題が空き家です。
大分市内の空き家とみられる住宅では、道路の方に倒れかかっているブロック塀がみつかりました。塀の周囲にカラーコーンが設置されているだけで、非常に危険な状態のまま放置されています。近所の人は「市に何とかしてくれと連絡したが対応してくれない、できないと。こちらの方としてもお手上げ状態」と不安を募らせています。
大分市内では倒壊のおそれのある住宅は620戸。所有者の特定が難しいケースが多く、対応に苦慮しているのです。ブロック塀だけでなく家屋自体が倒壊する可能性もあり、防災の妨げとなっています。
(大分市住宅課・岡本隆憲課長)「空き家のまま放置しないことが重要なので新しく高齢者に対する啓発事業、もしくは高齢者施設に出向いての啓発や地区ごとの空き家対策を検討したい」
地震はいつ起こるかわからないだけに空き家への対応を含め、二次的な災害を引き起こさない対策が急がれます。