「後発地震注意情報」を“スルー”させないために
15年前、東日本大震災をもたらしたMw9.1の巨大地震(表-3の№47)が発生する2日前、同じ震源域でMw7.3の地震(同No.46)が起きていた。今となってはMw7.3の地震が「先発地震(前震)」、Mw9.1の巨大地震が「後発地震(本震)」と分かっているのだが、当時は後発地震に対して特段の警戒や注意が呼びかけられることはなかった。
「同じ轍を二度と踏まない」との反省から、国は2022年12月、「後発地震注意情報」の運用を開始した。それから約3年、情報が実際に発表されたことで認知度や理解度は一時的に上昇した様子がうかがえるが、社会に浸透・定着するのはまだまだ先の話だろう。
この情報が発表された場合の巨大地震の発生確率は「百回に1回程度」と不確実性が高いが、それでも統計上、普段(千回に1回程度)と比べて巨大地震の発生可能性が高まっているといえるのであれば、伝える意味はある。
国には、巨大地震が発生した際の甚大な被害を少しでも軽減するために「後発地震注意情報」をわざわざ作った原点に今一度立ち返ってほしい。情報の名称を見直すなどの作業が無意味とは思わないが、事の本質はもっと別のところにあるのではないか。
この情報を防災・減災に役立てるために、そして誰からもほとんど見向きもされない情報にしないために、「予告」情報の導入は現実的かつ有力な手段の一つと考える。
<本記事における提案の内容は、2026年3月14日・15日に東京大学本郷地区キャンパス内で開催される日本災害情報学会第32回大会において発表予定>
【参照文献及び引用したウェブサイト等】
気象庁「令和7年12月の地震活動及び火山活動について」(2026年1月13日)
総務省消防庁「青森県東方沖を震源とする地震による被害及び 消防機関等の対応状況(第18報)」(2025年12月16日)
気象庁「北海道・三陸沖後発地震注意情報について」(2025年12月9日)
内閣府「北海道・三陸沖後発地震注意情報の発表に伴いとるべき防災対応」(2025年12月9日)
関谷直也「北海道・三陸沖後発地震注意情報の効果 -アンケート調査結果からみる社会心理-」(2025年12月)
林能成ほか「後発地震情報の認識状況等についての調査」(2026年1月)
気象庁 震度データベース検索
内閣府「北海道・三陸沖後発地震注意情報防災対応ガイドライン」(2025年3月18日)
気象庁「「南海トラフ地震に関連する情報」の情報発表の流れ」
福島隆史「「北海道・三陸沖後発地震注意情報」はどう伝わるか 過去の“先発49地震からのメッセージを読み解く」(日本災害情報学会第30回大会予稿集 2025年3月)
福島隆史「未発表の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を“深掘り”する」(TBS NEWS DIG 2025年3月23日)
<執筆者略歴>
福島 隆史(ふくしま・たかし)
TBSテレビ 創域報道本部 報道局 解説委員(災害担当)
社会部記者、「JNN報道特集」ディレクター、社会部デスク、JNNニュース編集長、東日本大震災発生後にJNN三陸臨時支局長などを経て現職。
阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、平成30年7月豪雨、東日本台風、令和6年能登半島地震など、これまでに多数の災害を取材。
日本民間放送連盟 災害情報専門部会 幹事
十文字学園女子大学 非常勤講師
令和7年度 内閣府「災害発生時等の帰宅困難者等対策検討委員会」委員
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














