気象庁が約2か月前に出した「北海道・三陸沖後発地震注意情報」(冒頭の写真は発表時の気象庁会見)。初めてのことだけに、出した方、出された方ともに課題が残った。TBSテレビ報道局の福島隆史・災害担当解説委員が検証し、具体的な対応策を提言する。
気象庁が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を2025年12月9日未明に初めて発表してから2か月以上が経過した。情報発表のきっかけとなったのは8日深夜に青森県東方沖で発生したマグニチュード(M)7.5の地震で、青森県八戸市で最大震度6強が観測されたほか、北海道から近畿地方にかけての広域で震度6弱から1が観測された。
この地震で、気象庁は北海道から福島県にかけての太平洋沿岸に津波警報や津波注意報を発表し、津波は岩手県の久慈港で64㎝、北海道の浦河で50㎝などが観測された。総務省消防庁によると、先発地震によるおもな被害は12月16日現在、負傷者46人、住家被害48棟となっている。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の発表に伴い、当時、防災対応をとるべき地域(北海道から千葉県にかけての計7道県182市町村)に対して約1週間、国が「すぐに避難できる態勢の準備」や「日頃からの地震への備えの再確認」を行うよう呼びかけたことを記憶されているだろうか。
そうした<特別な注意の呼びかけ>が行われた1週間の社会の対応を振り返り、赤間二郎防災担当大臣は「大きな混乱もなく冷静にご対応いただいた」(12月16日)、気象庁の野村竜一長官も「大きな混乱もなく落ち着いて対応いただけた」(12月17日)と発言するなど、情報を発表した側からは一様に評価する声が聞かれた。
だが、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」への人々の対応は、はたして褒められるようなものだったのだろうか。
防災行動に結びついていない現実
東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センターの関谷直也教授らは、「北海道・後発地震注意情報」(以下、「後発地震注意情報」)が発表された直後の12月10日・11日に、全国47都道府県の20歳~69歳を対象にインターネット調査を行った(有効回答計9400票)。
その結果、後発地震注意情報を見聞きした人のうち、前述の防災対応をとるべき地域にいた人がとった行動は、「水や食料などの備蓄を確認した」(27.7%)、「家具の転倒防止を確認した」(16.1%)、「家族との連絡方法を確認した」(11.4%)、「非常持ち出し品を常時携帯した」(9.7%)などとなった。一方、「特に何も行動はとらなかった」は19.7%で、防災行動は限定的だったことがうかがえる。
関谷直也・東京大学大学院 情報学環 総合防災情報研究センター教授は、次のように指摘する。
「後発地震注意情報は防災行動を促す情報なので、避難場所や避難ルート、備蓄の確認などはもっとやってほしいと思いました。皆さんがそういう行動をされていないのは、やはり情報の周知が十分ではなかったのだと思います」
また、関西大学社会安全学部の林能成教授らが<特別な注意の呼びかけ>期間終了後の12月後半に北海道と本州の計約4600人を対象に実施したインターネット調査でも、防災対応をとるべき地域の住民が情報発表後にとった行動は、「ガソリンを満タンにする」が最も多く17.6%、次いで「飲料水の備蓄確認」(16.8%)、「非常食の備蓄確認」(14.2%)と続き、こちらの調査でも積極的な防災行動には結びついていないことが見て取れる。
防災担当大臣や気象庁長官が「大きな混乱もなく…」と前向きに受け止めた社会の対応は、初めて接した「後発地震注意情報」に対し、人々が単に“スルー”(無視)しただけ、というのが実態に近いのではないか。
もし社会に「“スルー”して問題ない情報」だと受け止められてしまったら、この情報に防災上の機能は期待できなくなるだろう。「冷静に対応いただいた」「落ち着いて対応いただけた」などと安心している場合ではないのではないか――それが筆者の問題意識だ。














