「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」に相当する情報の導入を
~“スイッチ”や“露払い”としての予告~
「後発地震注意情報」と「臨時情報」との主な違いをもう少し見てみよう。
(1)「臨時情報(巨大地震警戒)」のように事前避難を呼びかけたりはしない。
(2)通常と異なるゆっくりすべりをきっかけに情報を発表することはない。
(3)「臨時情報(調査中)」のような、地震などの異常な現象を観測したことや臨時の評価検討会の開催を知らせる情報はない。
(3)の「臨時情報(調査中)」は、先発地震を含む異常な現象が南海トラフ巨大地震に結びつく可能性があるかどうか調査を開始したことを知らせることが主眼だが、その後発表される評価結果にも人々の目を向けさせる「予告」的な性格を併せ持つ。
つまり「臨時情報(調査中)」は、先発地震を社会が認識しているかどうか、さらには評価結果がどうなるかに関係なく、南海トラフ沿いで巨大地震が今後発生する可能性について注目を集めさせるスイッチの役目も果たしている。そのスイッチを「後発地震注意情報」にも設置してみては、というのが筆者の提案だ。
具体的には、「先発地震」の候補になるような地震が発生し、気象庁が「後発地震注意情報」を発表する可能性を視野に入れてMwの精査を開始した段階で、その旨を知らせる「予告」情報を報道発表する。そうすれば、揺れが強くなくても、津波警報や津波注意報が発表されなくても、人々は「先発地震」(になる可能性のある地震)が発生したことを認識できる。「先発地震」に対する認識の地域差を解消できる。
「予告」が担うもう一つの役割は、いわば露払いだ。突然の「後発地震注意情報」に対して人々が抱く唐突感を前もって減らしておくことで、情報の名前を知らなくても、意味を理解していなくても、人々はこの情報に向き合う心の準備ができる。それによって、情報が発表された場合の防災行動への橋渡しもしやすくなるだろう。
「予告」には、地震発生から情報発表までの“空白”の約2時間を、人々の防災意識をほんの少し高めるための貴重な時間に置き換える効果も見込める。たとえ「後発地震注意情報」が発表されなくても、そのときには心の準備を解除するだけなので心理的にも物理的にも負担は少ない。
また、「予告」情報の導入は、情報の仕組みや日本海溝・千島海溝沿いで想定される巨大地震についての理解度の向上にも役立つはずだ。














