過去約100年間の「先発地震」を深掘りする
「後発地震注意情報」の導入を検討する際、気象庁と内閣府が過去約100年間(1904年~2017年)の地震のデータを確認した結果、発表条件を満たす地震が計49回発生していた。その分析は情報の発表頻度を「概ね2年に1回程度」とする根拠にもなっているのだが、気象庁も内閣府もデータの詳細は公表していない。
「後発地震注意情報」発表のきっかけとなるのは具体的にどのような地震か、過去の事例からある程度の傾向をつかんでイメージを共有しておくことは、人々の認知や理解がまだ十分とはいえないこの情報を防災・減災に役立てる上で有効と考える。そこで、気象庁の協力を得て49例のデータや評価結果を提供してもらい、網羅されていないMや震度、津波の有無などについては筆者が独自に追加調査を行い、リスト化したものが図表-3である。

「最大震度4以下が半数超」…まず最大震度に着目すると、49例のうち震度5(弱)以上が24例(49%)、震度4以下が25例(51%)で、後発地震注意情報の発表条件を満たすMw7.0以上の先発地震が必ずしも強い揺れを伴ってはいないことが分かった。
例えば東日本大震災を引き起こした2011年3月11日の「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(No.47)では最大震度7が観測された一方、1975年6月10日の北海道東方沖を震源とする地震(No.31)の最大震度は1だった。震源が陸地から遠く離れていたり深かったりした場合には、先発地震がMw7.0以上の大地震であっても地上に伝わる揺れが強くならない可能性がある。
「約76%で津波を確認」…次に津波の有無を調べた結果、少なくとも37例(75.5%)で津波(小津波含む)が確認されていることが分かった。その中には、大津波により甚大な被害が出た「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(No.47)や「1933年三陸沖地震」(No.8)、「1968年十勝沖地震」(No.23)などがある。
一方、「平成5年(1993年)釧路沖地震」(No.38)や2003年5月26日の宮城県沖の地震(No.42)は、プレートの内部の地震であったり震源が深かったりしたために津波は観測されていない。
「後発地震注意情報」の発表条件を満たすMw7.0以上の先発地震が発生した場合、少なくとも津波注意報が発表される可能性は高いと思われるが、必ずしも津波を伴うとは限らない点は強い揺れと同様である。
「M7未満→Mw7.0以上が2割以上」…Mwを規模別に見ると、8.0以上が9例(18.4%)、7.0~7.9が40例(81.6%)だった。「後発地震注意情報」の発表条件をギリギリ満たすMw7.0は8例(16.3%)あり、発表するかどうか気象庁がMwを精度良く算出するまでに相当の時間がかかるケースも想像される。
また、MwとMの関係に着目すると、Mが7未満でもMwは7.0以上のケースが11例(22.4%)確認できた。これは気象庁が地震発生直後に発表するM(速報値)が7に満たなくても、Mwを精査した結果7.0以上と算出されるケースが一定程度あることを意味する。「後発地震注意情報」の発表可能性を推し量る上でM(速報値)は参考になるが、単純に数値をそのままMwに置き換えると過小評価してしまうおそれがある。
「想定震源域“外”が約45%」…震央を領域別に見ると、「三陸・日高沖」が18例(36.7%)、「十勝・根室沖」が9例(18.4%)、「想定震源域外」が22例(44.9%)で、全体の半数近くが想定震源域の外側で発生していた。
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(No.47)のようなMw9クラスの巨大地震にもなると、震央が想定震源域から約500㎞離れていても「後発地震注意情報」の評価対象となり得る。地震の発生した場所が想定震源域の内側か外側かばかりを気にして情報発表の可能性を推し量ると、事態を見誤る可能性が高い。














