「先発地震」を人々はどう認識するのか
「後発地震注意情報」は、北海道の根室沖から東北地方の三陸沖にかけての日本海溝・千島海溝沿いにある巨大地震の想定震源域で、モーメントマグニチュード(Mw・注)8.0以上の巨大な「後発地震」の発生する可能性が普段と比べて高くなっていることに注意を促す情報である。発表条件は、想定震源域と想定震源域に影響を与えるエリアでMw7.0以上の「先発地震」が発生した場合となっている。
以上の発表条件に着目すると、人々が最初に「先発地震」をどの程度認識したか<第一段階>が、次に「後発地震注意情報」をどう受け止め、どのような防災行動をとるか<第二段階>に影響する可能性があると考えられる。
(注)モーメントマグニチュード…地震の規模を示す物差しの一つで、地震で地下の岩盤がずれ動いた面積とずれの大きさを掛け合わせるなどして算出する。巨大地震の規模を正確に評価できる一方、算出には時間がかかり、規模の小さな地震には不向き。これに対し気象庁が普段示すマグニチュード(M)は、地震計の振幅の大きさから地震の規模を算出する。短時間で比較的正確に計算できるのが特長だが、M8を超える巨大地震は正確に評価できない。
では、初の「後発地震注意情報」が発表される“引き金”となった2025年12月の「先発地震」を、人々はどう認識したのだろうか。
2025年12月8日午後11時15分に発生した「先発地震」(青森県東方沖を震源とするM7.5(Mw7.4)の地震)で観測された道県別の最大震度を図表-1に、津波警報や津波注意報などの発表状況を図表-2にまとめた。浮かび上がった特徴の幾つかを以下に記す。

<震度>
全国最大となる震度6強を八戸市で観測した青森県は、28市町村中18の市町村で震度5弱以上の強い揺れに見舞われたが、日本海側に位置する深浦町は震度3だった。
北海道は函館市で道内最大の震度5強を観測した一方、オホーツク海側に位置する枝幸町と雄武町はそれぞれ震度2だった。
県内の35市町村すべてが対象となっている宮城県は、登米市で震度5弱を観測したが、震度3以下が6割以上(22市町村)を占めた。
福島県は最大震度4、茨城県と千葉県はいずれも最大震度3だった。特に震源から最も遠くに位置する千葉県は、対象市町村で唯一、勝浦市が最大震度1で、御宿町では震度1以上の揺れが観測されなかった。

<津波関連情報>
北海道は、太平洋沿岸の中部(新ひだか町、浦河町など)に津波警報が、東部(釧路市や根室市など)と西部(函館市や室蘭市など)に津波注意報がそれぞれ発表された。ほかに日本海沿岸南部(松前町の一部と八雲町の一部)に津波予報(若干の海面変動)が発表されたが、オホーツク海沿岸(北見市や網走市など)には何の発表もなく、北海道の沿岸部は、地域によって発表状況にかなりの差が出た。
青森県も、太平洋沿岸に津波警報、日本海沿岸に津波注意報、陸奥湾に津波予報(若干の海面変動)と、3つの津波予報区にそれぞれ異なる情報が発表された。
関東地方の茨城県と千葉県の沿岸には津波警報も津波注意報も発表されなかった。
以上、最大震度が6強の青森県や5強の北海道でも、地域によって震度にかなりのばらつきが見られたほか、津波に関する情報の出方に大きな違いがあった。また、震源から遠く離れた千葉県や茨城県では先発地震に伴う強い揺れを感じることがなく、津波警報や津波注意報が発表されることもなかった。これは何を意味するのだろうか。














