取材を終えて

いとこの戦死が「嬉しかった」という言葉に、私はまず驚いた。今の価値観からすれば、自分の親戚の死が「嬉しい」などということは、到底考えられないからだ。ただ、梅本さんが話してくださった当時の社会の雰囲気に目を移すと、果たして自分も同じ状況に置かれたらどう感じていたのかを思わずにはいられない。現代の社会を生きている中で、「おかしい」と感じても、誰かが言っていることに合わせたり、事なかれ主義に走ったりしてしまうことは、誰しも一度は経験したことがあるだろう。こうしたひとつひとつの積み重なりが“同調圧力”を生み出し、社会をある方向へ大きく動かしてしまうのかもしれない。そう考えると、梅本さんが生きた社会、体験した“空気”が、決して他人事とは思えない。
梅本さんが抱いている後悔を繰り返さないためには、こうした当事者の体験談を次の世代に身近な危機として伝えていくことが不可欠だ。そして、“同調圧力”に囚われず、何か感じたときには立ち止まって声を上げ、そのことについて社会全体で考え、話し合うことが大切だろう。こうした思いを持ち続け、取材活動を続けたいと考えている。
※この記事は、JNN/TBSとYahoo!ニュースによる戦後80年プロジェクト「#きおくをつなごう」の共同連携企画です。記事で紹介した「国防婦人会」や「村葬」についての情報に心当たりのある方は「戦後80年 #きおくをつなごう」サイト内の情報募集フォームにご連絡ください。また、企画趣旨に賛同いただける方は、身近な人から聞いた戦争に関わる話や写真を「#きおくをつなごう」をつけてSNSに投稿をお願いいたします。

















