「本当に申し訳ない」戦後80年経ったいま、抱く“後悔”

梅本さんが11歳だった1945年8月15日。日本は敗戦を迎えた。
社会全体を覆っていた空気は一変した。梅本さんの母・いとのさんを“一人前でない”と言っていた人たちも、「うちは主人も息子も兵隊に取られて帰ってこない。おばちゃんの勝ちやったな」と漏らした。
日本が負けることを想像すらしていなかった梅本さんも、呆然とした。生活は戦時中よりむしろ、戦後の方が苦しくなり、ひどい食糧難にあえいだ時、初めて戦争を恨んだという。
いとこの戦死に「嬉しさ」を覚えたことも、いま思い返すと、強い後悔の念に駆られる。
「ようあんな気持ちになったなと、今から思うとね。いとこに本当に申し訳ない。いとこが亡くなったのをあんなに喜ぶって、(これほど)馬鹿げたことはないんですね」
「せやから、その時は全体がそういう雰囲気やったんやろなと思います。いいとか悪いとかいうのではなしに、そういう世界やったんですね」
市民の間に蔓延した“同調圧力”が、戦争遂行の推進力となったという現実は、現代を生きる私たちにも、鋭く突きつけられている。