『対話者』と『来場者』見知らぬ2人が1対1で対話
続いては、一転してどこか懐かしい雰囲気のパビリオン『Dialogue Theater―いのちのあかし―』です。映画監督の河瀨直美さんが“いのちを守る”をテーマにプロデュースしました。
建物は京都や奈良の山あいで廃校になった3棟の木造校舎を移築しました。黒板や椅子もそのままで、奥に進むと150人ほど入ることのできるシアターが。椅子に座って鑑賞が始まります。
来場者の中からランダムに選ばれた1人が舞台に立ち、スクリーンの向こう側にいる、『対話者』と呼ばれるスタッフと1対1で話しあうという展示です。
(対話者)「私、約50年くらい生きているんですけど、その大半を親との関係のことで苦しんできたんです」
(来場者)「親との関係?」
(対話者)「うん」
話のテーマは期間中、毎日替わります。家族関係の悩みや、これまでの人生でいちばん重要な決断など、見知らぬ2人の対話を10分間聞きます。
(来場者)「今でも苦しい?」
(対話者)「今だったらね。いなくなってみると…大好きだったって思いますよ」
一足先に体験した記者は…
(記者)「不思議な体験だったのですが、自分自身を振り返る貴重な時間になったと思います」
また、シアターと同じテーマについて、来場者同士で対話し、表情からお互いの共感度を数値化する装置もあります。こちらも記者が体験しました。
(記者)「最大共感度、61」
(スタッフ)「60は高いほうです」
パビリオンを手掛けた河瀨さんは、“対話”を通じて世界中の人が理解を深めあってほしいと話します。
(河瀨直美さん)「対話の前に武力行使が行われていたりとか、戦争に限らず、人を自分ごとのように思えなくなっている社会がどこかにあると思っている。ここに、本当にこの人が生きて『生』でしゃべっていることだから、ものすごくうまみがあるというか、自分の中に刺さるものがあるんじゃないかと」