心の傷は癒えず…PTSDで苦しむ元少年兵

1945年6月、沖縄では組織的な戦闘が終わり、大人たちは武器を置いた。
だがそのあとも少年たちはゲリラ戦を続けた。
戦後、その過酷な経験からPTSDで苦しんだ元少年兵もいる。
16歳で入隊した瑞慶山良光さん95歳。
元護郷隊員 瑞慶山良光さん(95)
「迫撃砲で吹っ飛ばされる。手も足も頭もバラバラ、(木に)引っかかる。これが生きた人間、僕たちが見てる」
凄惨な光景を目の当たりにするうちに、人としての心が無くなっていったという瑞慶山さん。
戦争が終わった後も、村を荒らし回るなど、まともな精神状態ではなかったという。

瑞慶山良光さん
「国道、海岸通りを駆け足したり、海に飛び込んだり。戦争状態になっている、心はね」
「自分一人だけの戦争状態になってる」
そんな姿を見かねた親戚たちは、自宅の横に座敷牢を作り、その中に瑞慶山さんを閉じ込めたという。

瑞慶山良光さん
「この辺ですね。1間 畳2枚分の座敷牢」
「ただ軍国主義の教育だけやってるから頭がおかしくなって、一生涯こういう頭になるんじゃないかなと思って」
その後、入院し治療を続けたが、幼くして受けた心の傷は未だに癒えることはない。
2024年6月、沖縄戦の戦没者を追悼する「慰霊の日」
護郷隊の慰霊碑がある小さな公園には、朝から地域の子供たちと保護者が集まり、
清掃活動を行った。
ここを訪れる人が年々少なくなる中、慰霊碑に向かって手を合わせる瑞慶山さんの姿があった。
瑞慶山良光さん
「14、5歳の子供たちを戦争に飛び込ませる。物と同じように考えていた。人間を物資と同じと考えていた。人の命を粗末にするようなことはあっていけない」