進化中の博多駅 おしゃれなスポット

ななつ星が出発するホームにつながるエスカレーター。登った先の3階に広々としたスペースがあった。

鐘ヶ江駅長には、利用客がくつろげる空間にするための、新たな構想があった。

鐘ヶ江理駅長「下にある自販機とはちょっと違う自販機置きたいなと思って、交渉中ですいま考えているのは、サラダとか、ちょっと特殊なジュースとか、そういうようなのを売るようなことを考えてます」

ホームの真上にあるこのスペースからは、列車がホームに入る様子もよく見える。

鐘ヶ江理駅長「列車お好きな方にはそれを見ていただくスペースでもいいなあと思っています」

2か月後、新しいインテリアが運びこまれた。午後10時過ぎからの組み立て作業。鐘ヶ江駅長も作業に立ち会う。木製で、カーブを組み合わせたデザインの大型ベンチ。真ん中にはフェイクグリーンが入る。常にリニューアルし進化することは、JR九州の目標とするところだという。

鐘ヶ江理駅長「ほんとに通過するだけじゃなくて、快適に過ごしていただけるそんな場所にしたい。我々JR九州、JR九州の社員も変化しつつ、進化をしていけるといいなと思います」

進化する博多駅におしゃれなスポットが出来た。

16代目の博多駅長最初は「無理」

鐘ヶ江理恵駅長はJR九州の博多駅長としては16代目。2021年5月に就任した。最初は、駅長の辞令に驚いたという。

鐘ヶ江理恵駅長「私の頭の中に博多駅長っていうのはまったくゼロ%だったので、ただただびっくりして。無理って思いました」

1987年に国鉄から分割民営化して誕生したJR九州。当初、新幹線もなく赤字路線を多く抱えていたことから、鉄道以外の新規事業に力を入れてきた。現在では鉄道以外の収入が6割を超える。鐘ヶ江駅長は、入社以来、経理や財務と企画、新規事業を担当してきた。2018年からはJR九州リテールに出向、専門店事業の本部長を務めた。JR九州リテールは、駅の売店「キヨスク」を引き継ぎ、土産物を販売する「銘品蔵」を展開している。博多駅には、鐘ヶ江駅長がリテール時代に手がけたプレミアムコーナーがある。

駅長の前職は「お土産」の企画開発

鐘ヶ江理恵駅長「ここはちょっとした手土産に持っていっていただきたいなあという、冷蔵冷凍いろんなものが揃っています」

福岡市内で人気の菓子店がつくる洋菓子やお酒のおつまみ、和菓子も取りそろえている。こだわっているのは、九州の土地で作ったもの、あるいは九州の土地で作られた原料というところだ。鐘ヶ江駅長が鹿児島まで交渉に行って取り扱いが決まった「ラムドラ」は、人気商品だ。販売事業の担当から駅長になり、見方が変わったという。

鐘ヶ江理恵駅長「ここではいかに多くのお客様に足を止めていただくか、そしてもちろん小売りですので、売上のことを考えながらやっていたんですけど、今度、駅全体になるとお客様が安全にこの場で過ごしていただけるかっていうことが一番重要になってくるので、お客様が集まればいいというものではない、ちょっと視点がやっぱり変わりましたね」

JR九州リテール時代の上司に鐘ヶ江駅長の仕事ぶりを聞いた。

JR九州リテール本郷譲社長「鐘ヶ江駅長は、お菓子屋さんを買収するとか、新しい業態をはじめるっていう当社としては珍しいことを彼女は3年の間にやっていきましたね。これはやっぱり特筆すべきことだと思います。男性女性という概念なく抜擢もしましたし、彼女はそれに応えたと思いますね。あの年齢でまったく違う事業本部、まして博多駅長なんていうのは、もうピカピカのポストですから、そこに行くっていうことついては、背中を押しました」