「1人1人の弁護士の倫理観にかかっている」

では、なぜこの制度が悪用されてしまうのでしょうか。

ひかり総合法律事務所の對馬佳奈恵弁護士は、「書類は基本的には写しで裁判所に提出する。ただ実際に悪意を持って、正しい資料を出さないと言うことになると、裁判所としても気づきにくいだろう」と話します。

また成年後見制度を利用する人が増えていく中、チェック体制を強化するにも限界があるといいます。

ひかり総合法律事務所 對馬佳奈恵弁護士
「一人あたりたくさんの通帳を持っていることを考えると、すべて裁判所が再度チェックするというのは事実上難しい。一人一人の弁護士の倫理観にかかっていると思う。多くの弁護士は毎日真面目に業務をこなしているので、本当にこういう事件が続くと言うことが残念で仕方がない」

広島弁護士会では、弁護士倫理研修規定に基づき、数年に一度会員が研修を受講。一方、日本弁護士連合会は、弁護士の成年後見人による横領事件が起きた際、被害を弁償する制度も設けています。