後を絶たない成年後見制度の悪用…資料を偽造する例も

成年後見制度は認知症や知的障害がある人たちを親族のほか弁護士などの専門家が「後見人」になって財産管理などの手続きをサポートする制度です。

「後見人」に弁護士がなるケースでは、弁護士会から特定の弁護士が推薦され、家庭裁判所が選任するのが一般的です。選任した後は後見人からの定期的な報告書を家庭裁判所がチェックします。

民事事件の訴状などによりますと、今回の事件では、業務上横領を隠蔽するため、家庭裁判所に対し、成年被後見人の解約前の定期貯金証書の写しや偽装した預貯金通帳写しを都度、添付していました。

偽装された預貯金通帳は不自然な切り貼りの形跡がなく、通帳の枠線や着色台紙部分をそのまま生かして、PDF編集ソフトで改ざんするなど、高度な手口で偽装されていたということです。

広島家庭裁判所では、「弁護士の男から提出された書類を審査していたが、このように極めて精巧な偽装が施されていたことから、犯罪行為を容易に察知することが出来なかった」としています。

成年後見制度を悪用した事例は後を絶ちません。広島県内でも、2023年に福山の男性弁護士が、2024年には広島市の女性弁護士が、いずれも成年後見人として管理する財産を着服し、実刑判決を受けています。