70年以上前から地域に愛されている豆腐店が高知市にあります。豆腐のさらなる価値を見出し続けようという挑戦の日々です。

次から次へと流れてくるのは…豆腐。高知市大津にある1951年創業の高橋豆富です。真剣なまなざしで豆腐作りに励んでいるのが、4代目の高橋達巳(たかはし・たつみ)さんです。
(高橋豆富 高橋達巳 社長)
「『体に美味しい優しい』がコンセプト。豆腐をただ普通に食べる豆腐ではなく、健康食品としての豆腐という別の意識を持って日々の豆腐作りに励んでいる」
40種類以上の商品を販売しているという高橋豆富が今年4月に発売したのが、「高知の生姜とうふ」。

国産の大豆から絞った豆乳と県内産のショウガのペースト、塩を作る時の産業廃棄物となる室戸海洋深層水のにがりを使っています。知り合いのショウガ農家が、「コロナ禍で消費量が少なくせっかく作っても廃棄せざるを得ない状況になっている」と悩みを抱えていたことがきっかけでした。
(高橋豆富 高橋達巳 社長)
「最初僕もこんなに(ショウガを)入れるなんて思っていなかったので、気が付いたらこれぐらいの量入れないとおいしくない。これの4分の1ぐらいから始まった」
開発におよそ2年の月日を要したこの商品が、9月、高知の「うまいもの」を選ぶ「うまいもの大賞」で最優秀賞を受賞しました。最初は「SDGs賞」を目指していたといいますが、まさかの最優秀賞!社員の喜びもひとしおでした。
(高橋豆富 高橋達巳 社長)
「やっと正直、報われたなと。世に出たこともすごく嬉しかったが、やっぱりそれ以上に人に評価されたということがすごくやっぱり嬉しかった。長年うちの従業員たちも日に当たるような仕事をしてなかったので、すごくみんなが喜んでくれたというのがすごく嬉しかった」
豆腐を作る工程で出るのが「おから」。1度におよそ1トンもの量が出ますが、高橋豆富では「おからの廃棄量ゼロ」を目指しています。

(高橋豆富 高橋達巳 社長)
「基本的におからは産業廃棄物になるので、やっぱり捨てるにもお金がかかってしまう。必要とされてるのも事実。牧場の飼料にしたり畑の土壌改良に使っていただいたり、今、SDGsって言わているが、そういう意味ではもっと前から僕たちはできてたのかなと思う」

高橋豆富がおからを提供している高知市の川渕牧場です。飼育頭数県内一を誇る川渕牧場ではおよそ500頭の乳牛を飼育していて、飼料におからを混ぜています。牛の健康を考えて10種類以上の原料を混ぜて作っているといい、おからもその一つです。
(川渕牧場 川渕貴矢さん)
「おからにはタンパク質と繊維が豊富に含まれているため、牛の健康管理にとても助かっています」

おからは、牧場のほかに、農家にも提供しています。規格外商品なども含めて、廃棄自体をなくすことを目標に掲げて今後も取り組みを進めていきます。
今年9月に、工場の豆腐をメインにした肉吸いの店をオープンし、豆腐にさらなる価値を見出し続ける高橋豆富。

70年以上の伝統を受け継ぎながら、自分たちにしかできないチャレンジを続けていきます。
(高橋豆富 高橋達巳 社長)
「先代たちから受け継いできた昔ながらの豆腐を、すごく今までも大事に作っていってますし、それに対して昔からのお客様を大事にしていきたい部分ではある。それをベースにして新しい商品作りを切り開いていって新しい顧客、これからの若い方々にもいろんな高橋豆富を知ってもらいたい」