特集は、税金について。ほとんどの人が納めている、住民税などの税金ですが、中には滞納している人もいます。滞納者の財産を差し押さえる「捜索」に同行すると、再三の催促に応じなかった滞納者たちの生活から「ある課題」が見えてきました。


机の上に並べられたこれらは、税金の支払いを滞納した人たちの自宅で差し押さえられ、公売会に出された物です。売り上げは、それぞれの滞納者の支払いに充てられます。
租税債権管理機構。住民税などを滞納している人たちから、税の徴収を行っています。職員らは納税を求めてやり取りをしますが、再三の催促に応じない場合、国税徴収法に基づき、滞納者が所有する物品の差し押さえをしています。高知県安芸市にある、安芸機構ではこの日、差し押さえを前に、ミーティングが行われていました。
(職員)
「捜索の目的として、本人がいれば納税を交渉し、一括納付できない場合は捜索をする」

対象となっている滞納者は、妻と3人の子どもを持つ40代の男性。住民税、国保税などを5年間に渡って支払っておらず、90万円以上を滞納しているといいます。
(塩﨑泰 管理局長)
「今年6月に一回だけ納付があって、後は全然連絡もなし?」
(職員)
「納付の前に一回連絡があって、それから(1万円を)納付してきて、以降は連絡がないです」
税金の使い道は主に社会保障。滞納者が増えると教育や医療といった公共サービスに大きな影響が出るおそれがあります。催促に応じなかったり、分割して納める「分納」という手だてでも支払いが滞ったりする人は財産を差し押さえられます。
(安芸租税債権管理事務機構 塩崎泰 管理局長)
「まずは払うという意識を見せていただく。もう、どういった生活状況であるかとか、話をうかがうわけではない。もう、払うかどうか。そこを確実に捜索の中でつかんでいく」
出てきたのは、滞納者の妻。本人は不在でした。

(職員)
「滞納がありまして、誓約もさせていただいてるんですけど納付がないので捜索ということで(来ました)」
(滞納している男性の妻)
「気にはなってはいたんですけど、生活が厳しくて・・・仕事もありまして」

捜索を開始した職員たち。冷蔵庫や洗濯機など生活に必要なもの以外で売値がつくと思われるものを差し押さえていきます。捜索からおよそ10分。男性が帰ってきました。


(職員)
「完納していただければ、お返しします」
(滞納している男性)
「それは無理ですね、一括は。一括で払えるならみんな払うでしょうしね」
男性は農業をしていて年収はおよそ230万円。捜索では、ゲーム機とソフト、テレビ、空気清浄機を差し押さえました。しかし、これら全てが公売会で売れたとしても納税額には届かないのが現状です。
(職員)
「残りをどうするか、それを真剣に考えて下さい」
(滞納している男性)
「わかりました」
(塩﨑管理局長)
「生活は厳しいんだろうなと思いますけども、それ以前に税を納付しようという気持ちを見せていただければと思いますね。お子さんがいらっしゃるということであればなおさらのこと納税の意識をもって子どもの手本になるようにしていただければと思います」
この日は、別の滞納者の差し押さえも行いました。家賃や奨学金も滞納しているとみられる家族の、「お金の優先順位」とは…