経済的な理由による教育格差をなくそうと無料、低額で開かれている塾があります。さまざまな支援で子どもたちに快適な学習環境を提供しています。
土曜日の夕方。高知市の建物に入っていくと机に向かう子どもたちの姿が。

ここは、子どもたちが無料、低額で学べる学習塾、ステップアップ塾です。教育格差の是正を目的に活動する「高知ユネスコ協会」が運営していて、経済的困窮や不登校で塾に通えない子どもたちを支援しようという塾です。塾を立ち上げ、高知の支部長を務めるのは、土佐塾中学高校の教諭でもある和田栄治(わだ・えいじ)さん。自身の経験から「学ぶ大切さ」を実感し、誰もが安心して学習できる環境を作ろうと立ち上がりました。

(ステップアップ塾高知はりまや教室 和田栄治 支部長)
「いろいろな条件によって学習環境に差があってしまうと格差が広がってしまうので、その条件をなるだけ埋める存在として塾が機能していけばいいかなと思う」
文部科学省によりますとこれまでの調査で、世帯収入は学力に影響を及ぼすことが示されています。ステップアップ塾は寄付金や助成金で運営されていて、月額は保護者の所得により異なりますが、無料から最大で4000円まで。現在、18人が通っています。学習スタイルはボランティアの高校生や大学生から個別に教わる「マンツーマン指導」です。
科目は基本的に算数・数学と英語。毎週、一人ひとりの学習状況や態度を管理しているため、それぞれにあった指導ができるといいます。
(ステップアップ塾高知はりまや教室 藤井大和 教室長)
「生徒も多様化していて、それぞれにあった教育をしていかなければいけない時代になっている。集中がずっと続かない子とかは周りにしきりをしたり、席の配置を変えてみたり、まだ、試行錯誤をしながらですが頑張っています」
(小学生4年生)
「勉強時間がいっぱい増えた。(成績は)ちょっとずつ塾に通って上がっている」
(中学1年生)
「テストの点数とかも十何点くらいは伸びて実感している。一対一なので詳しく教えてもらえたり、ラフに話せたりするので楽しい」
月ごと、週ごとに取り組む範囲の目標や家庭での勉強スケジュールを子どもたち自身で設定していて、自立心や、家庭での学習時間の創出にもつなげようとしています。

(中学3年生(受験生))
「(スケジュールを)書くことによって計画的に勉強できたり、自分も頑張らんとなってなるので、モチベーションが上がる」
休み時間には…
お菓子の配布です。すべて、無償でもらったもの。営利を目的としないため、運営や教材なども寄付や助成金に支えられているんです。
(ステップアップ塾高知はりまや教室 和田栄治 支部長)
「スタートしてから人が集まるまで、人に知られるまでは利用者や支援する人が少なくてすごく大変でした。そういった意味では助けてくれる人がこんなにいっぱいいるからこそ続いている活動でもあると思う」

学習の時間に加えて、食事の提供も行っています。食材もお菓子や教材と同様、すべて提供を受けたもの。この日のメニューは温かい豚丼と野菜の味噌汁でした。勉強を教えてくれた高校生や大学生と一緒に笑顔でいただきます。こうした取り組みに保護者は…
(塾生の保護者)
「収入によって月謝は違ってくるので家計的には負担がないことはないですが、優しい塾だと思う。あとで友達たちとごはん食べたりするのが楽しいようなので、そこで嫌がらずに行ってくれているのは親にとってありがたい」
(ステップアップ塾高知はりまや教室 藤井大和 教室長)
「常に新しいことをしていくためには学び続けなければいけない、その姿勢がなかったらそこで人の成長はストップする。学びを止めない人を一人でも増やしたら世の中の幸せの総量はもっと増えていくと思うので、学び続ける人を増やしたい」

どんな環境の子どもたちも安心して学び続けられる環境づくりに向けて。ステップアップ塾は2026年度、高知市に2か所目の塾を開講するべく動いています。













