プロ野球ドラフト会議で西武ライオンズから6位指名を受けた、四国銀行の川田悠慎(かわだ・ゆうしん)選手。四国銀行からの指名は54年ぶりの快挙です。銀行員からプロ野球選手へ。そこには、たくさんの支えと、大きな期待がありました。
(四国銀行・川田悠慎選手)
「泣いてもうたです。自己中な部分も見せてしまいましたけど、本当に優しくて、みなさんには感謝しています」

四国銀行野球部の川田悠慎選手。50mを5秒台で走る俊足が評価され、西武ライオンズから6位指名を受けました。

四国銀行の選手が指名されるのは54年ぶりで、現役の銀行員がプロ野球界の扉を開いた瞬間でした。朝の空気が一段と冷たくなった10月のある日。
(四国銀行・川田悠慎選手)
「四国銀行・大津支店の川田です。大丈夫ですかね?」
(Q.いつも8時に出勤しているんですか?)
「そうですね。いつもこれぐらいの時間です」

指名から一週間。この日も、普段通りの1日の始まりです。行員19人の四国銀行大津支店。川田さんは入行以来この支店で働いてきました。支店から生まれたヒーロー。川田選手を中心に笑顔が広がります。

(川田選手の先輩 松本郁也さん)
「自分のことのようにうれしかったですし、本人もプロ野球選手という夢を持っていたので、それがかなって僕自身としても支店としてもすごく喜ばしいことだと思います」

(四国銀行 大津支店 北本大輔 支店長)
「本当にうれしかったとともに感謝ですね。我々も貴重な体験をしていると思っています。お客様からも、川田行員だけではなくて私にもお祝いのメッセージをいただくなど、本当に応援してくださっているのがわかりました」

川田選手は、法人や顧客への訪問を中心とした営業業務を担っています。同僚のみなさんによると、「仕事熱心」、「野球と一緒で仕事もスピーディー」。人懐っこく、愛されやすいキャラクターだとか。

(川田選手の同期 谷岡花音さん)
「はきはきしていてお客さんともコミュニケーションをとれている印象があります。(仕事以外で)普通に話していたら年相応なところが垣間見えるのが印象に残っています」

(四国銀行 川田悠慎 選手)
「期待の声を多くかけられました。『もうおらんくなるのか』みたいな。『この仕事最後やなあ』と“いじり”が入ってですけど」

野球部に所属している行員は、練習のため、半日の業務となることが多いといいます。大津支店でも、支店長をはじめ同僚たちの多くが川田選手を支え、ともに夢を追い続けてきました。
(四国銀行 大津支店 北本大輔 支店長)
「なるべく負担がかからないように周りのメンバーで作業を引き取って、川田が野球をできる環境や動ける環境をつくりました。」
(四国銀行 川田悠慎 選手)
「野球部の練習で半日いないですけど、その分をサポートしていただいたり、温かい声をかけてくださったりするので、そういう部分でやりやすかったです」
(川田選手の同期 谷岡花音さん)
「試合を見に行ったり、テレビで見たりして応援したいと思います」
(川田選手の先輩 松本郁也さん)
「本人の意思でプロ野球選手になると決めてプロ野球の世界に飛び込むので、心の底から応援したいです」

午後0時30分、練習のため、大津支店を後にします。
(四国銀行 川田悠慎 選手)
「今からグラウンドに向かいます」
(Q.ごはんもグラウンド?)
「ごはんもグラウンドで」

(四国銀行 川田悠慎 選手)
「1年目は外食が多かったんですけど、ちょっとバランスが悪いなと思って、2年目から作るようにしました」

野球をはじめたのは小学校2年生の時。中学時代には県の選抜に選ばれました。足の速さはその時すでに抜きん出ていて、学校代表として陸上の県大会に出場し、3位になったこともありました。

高校は強豪・高知高校に進学。しかし、目標の甲子園出場はなりませんでした。大学時代は肩や足首など多くのケガに苦しみ、思うようなプレーができず苦しい時間を送ります。


四国銀行への入行は、2024年。都市対抗野球にも入部1年目で出場しました。俊足を評価したプロ球団が2025年1月から興味を持っていたなか、3月に右手親指を骨折してしまいます。「プロは無理や…」そう思っていた時「逆にチャンスだ」と声をかけてくれたのが、亀岡洋介監督でした。

(四国銀行 野球部 亀岡洋介 監督)
「そこで落ち込むような選手はプロで活躍できるわけがないと思っていましたので、『とにかく気をしっかり持て』と。『逆境を跳ね返してそれが結果に出る選手が次のステージに上がる』という話はした記憶がありますね」

監督の言葉に奮起した川田選手。2か月後にケガがよくなると、自身の課題だったバッティングの特訓を監督とマンツーマンで開始します。ピッチャーを務めたのは監督。毎朝6時から、毎朝、100球投げてくれました。

(四国銀行 野球部 亀岡洋介 監督)
「LINEで『あしたはお願いします』ってくるんですよ。『何時に』って。それが1つの日課だったので個人的には楽しみの1つでした」
(四国銀行 川田悠慎 選手)
「朝練のなかで監督と話す機会もあって、結構コミュニケーションも取ったので、さみしいですね」

プロの扉が開いた今、掲げる目標は「盗塁王」。決して簡単な道ではありませんが、周囲は大きな期待をよせています。

(四国銀行 野球部 亀岡洋介 監督)
「1軍目指してやってほしいというのと、“スピードスター”ですので周東佑京選手のような“球界随一の脚力”と言ってもらえるような選手になってほしいです」
(四国銀行 川田悠慎 選手)
「1年目から1軍で帯同して“盗塁王”という目標に向かって、必死に頑張っていきたいと思っています」

たくさんの応援を追い風に。快足銀行員がプロ野球の世界へ走り出します。
川田選手は23日、ライオンズのサンクスフェスタに参加し、ファンにお披露目されました。お披露目の際、背番号は66と発表されています。お披露目のあいさつでは、「盗塁王は絶対に取りたいタイトル」と意気込んだということです。













