終末期の医療を追い続けるドキュメンタリー映画監督、溝渕雅幸(みぞぶちまさゆき)監督の新たな作品の上映会が来年1月、高知県黒潮町で行われます。命の終わりをよりよくしようと、患者と家族をサポートし続ける地域医療の現場から見えてくるものは何なのでしょうか?溝渕監督にからふるのスタジオで聞きました。

(藤﨑美希アナウンサー)
「きょうはいのちの仕舞い、終末医療を追い続けていますドキュメンタリー監督、溝渕監督にお話を伺っていきますよろしくお願いします」

(ドキュメンタリー映画監督 溝渕雅幸 監督)
「お願いします」

ドキュメンタリー映画監督、溝渕雅幸監督。2018年には四万十市で診療所を営む小笠原望さんに密着した映画「四万十 いのちの仕舞い」を公開しています。

(藤﨑美希アナウンサー)
「なぜこの終末医療、いのちの終わり、そして入院という形ではなく自宅で療養、治療、診療にあたるという在宅医療ですね、そういったものを追っている理由っていうのはどんなものがあるでしょうか?」

(溝渕雅幸 監督)
「『死』というものに興味があった。『死』とはなんぞや、っていうことなんですね。例えば地方部であったりとか、まだコミュニティがあるようなところって、昔は実は病院で死ぬことよりもお家で死ぬことが多かったから、お家の中に『死』があったんです。でもいつの頃からか病院死の方が圧倒的に多くなって、お家の中から死が消えてしまうっていうことが起こって、そもそも『死とはなんぞや』っていうことがすごく希薄になってしまったんですよね」

「人間は必ず死ぬんですよ。人って死ぬ時、生まれる時も死ぬその時も医療の手がかからないと無理なんですよ。生まれてくることもできないし、死ぬこともできない。例えばノンフィクションのライターさんであったりとか作家さんであったりとか、それはフィクションかもしれないし、ノンフィクションの場合もあるけれども何かその大往生とか、何か死って不幸だとみんな思うんだけどなんか幸せな死みたいなものも描かれるので、そういう現場を見てみたいなっていうのが好奇心であったんです」

その溝口監督の最新作が奈良県明日香村の診療所に密着した命の記録『明日香に生きる』。命に向き合い、映像を通して幸せな人生とは、生きるとはを追いかけます。

(藤﨑美希アナウンサー)
「監督自身はどのような思いでカメラっていうのを向けられてるんですか?」

(溝渕雅幸 監督)
「ありのままを撮りたいっていうことだけなんで、ドキュメンタリーですからね。だから指示も何もしてないですし、あと、僕は“映像の人間”なので…僕の映画ってインタビューなかったでしょう?」

(藤﨑美希アナウンサー)
「そうなんですよ。それ後で聞こうと思ってたんですけど…」

(溝渕雅幸 監督)
「実際の医療の現場をそのまま見せる。僕の映画ってアップも本当にほとんどないし、できるだけロングショット(広い画角)でこの空間で一体何が行われているのかっていうところを見てもらいたい。だから四隅全部見てもらいたいので…そういう風な感じでカメラを向けてます。だから…本当に、本当にありのまま」