花粉症に苦しむ人と林業関係者と、両方にうれしい特徴を持った『無花粉スギ』。
当初は、2016年から年間1万本を目標に新潟県内のスギ生産者向けに販売しようとしていました。しかし現在の出荷量は当初の10~20%の年間1000~2000本ほど。
その主な要因は、スギの植え替えの方法にあります。
スギを新たに植える場合、元の無花粉スギの枝木をとって苗木にして植える方法と無花粉スギからとれた種から植える方法が主になります。
苗木を植える場合だと、同じ遺伝子を持った無花粉スギが育ちますが、一つの木からとれる枝木は限られているため大量生産には向いていません。

新潟県では、生産効率の良い「種での販売」を目指していますが、無花粉スギの種であっても、そのうち5割は無花粉ではない種が発生してしまいます。
そのため県は、無花粉となる種の発生確率を上げる研究を進めています。

【新潟県森林研究所 岩井淳治専門研究員】
「林業で、伐採と植え替えが進んで無花粉杉が増えていけば、すごく時間はかかると思いますけど、そういったとこで役に立っていくのではないかなと」

新潟県は今後、エリートツリーの量産を軸にして、無花粉スギの研究も進めます。
実際に植え替えが進み、効果が出るまではまだまだ時間がかかりそうですが、研究者・行政・林業関係者とで一体となった取組みが求められます。