新潟県柏崎市には戦時中、国策として旧満州へと送り出された開拓団の記憶をつなぐひとつの塔があります。柏崎から満州に多くの人が渡り、命を落としました。もしも戦争がなければ、引き裂かれることのなかった家族が大勢いました。
戦後80年。
90歳の男性に聞く“あの日の記憶”とは―
高台にそびえる『満州柏崎村の塔』。
その裏に刻まれているのは、旧満州に渡り、命を落とした人たちの名前です。

「そうだよな、“満州の土”となった」
7歳で満州へ渡った巻口弘さん(90)。
この日、満州で失った3人の弟たちの名前を静かに見つめていました。
「もうなんか涙で泣いているみたいな…」

巻口さん家族の運命が大きく変わったきっかけは1932年。日本が、現在の中国東北部に傀儡国家『満州国』を建国したことでした。