平和への思い胸に 兄妹で肩を寄せ合い歌う讃美歌
悌子さんの暮らす石垣島は、自衛隊配備で揺れている。
石垣の港の近くにある自宅からは、自衛隊の車両が大量に運び込まれる様子や、迎撃ミサイルPACー3が配備されている様子がよく見える。
物々しい雰囲気に「再び戦争を起こしてはならない」という気持ちが、悌子さんはさらに強くなる。
修さんが悌子さんの歌を聴いた日から半年。今度は、悌子さんが修さんの活動の場を訪ねた。修さんは週1回、普天間基地のゲート前で讃美歌で平和を訴える抗議行動を、2012年から続けている。
米軍にむけて、悌子さんはダニー・ボーイを歌う。騒音に抗うように、声に力が入った。そして兄と肩を寄せ合い讃美歌を合唱。悌子さんは「兄と一緒に夢中になって歌ったのは初めて。今日は最高の日」と話す。
兄妹が、やっと同じ歌を歌えた。修さんはその重みを強く感じていた。
平良修さん
「軽い合唱ではないです。昨日覚えたメロディを今日歌うようなものじゃない。何十年も前から深い所でうずいていたメロディを吐き出したんだと思います、兄妹そろって」
悌子さんは、命ある限り戦争反対を訴えたいという。
齋藤悌子さん
「あくまでも私達は運よく生かされたわけですから、それを感謝すると同時に、もうとにかく戦争は絶対あっちゃいけないことだと、それをもう願うだけのことですよね」

基地をめぐり立場が分かれた兄妹。ふたりは今、平和を願ってともに歌い、失われた時間を取り戻している。
(#前編はこちら)