周りが鼻を抑えるのは「自分のせい」 相談できないニオイの悩み

中道さんがニオイに悩む人の脇や頭を“クンクン”し始めたのは、自身が抱えていたニオイに対するコンプレックスが関係しているという。

ニオイ悩みカフェ「ゆあのあ」 中道亜希子さん

「30年以上『自分はくさい』と思ったまま生きてきました」と話す中道さんが、自分のニオイが気になり出したのは中学生の頃から。次第に「くさい」と思われたくなくて、人を避けるようになったという。

高校生の時に、一念発起して病院で診察を受けた。そして、「軽度のワキガ」と診断される。医師は「ほとんどニオイはしない程度」だと説明したが、ワキガであることに変わりない。帰りのバスで1番後ろに座った時に、1番前の運転手や乗客が鼻をすすったり、咳込んだりしているのを見ると、「自分のニオイのせい」と感じたという。

ワキガを治すための手術もしたが、ニオイへの不安は消えなかった。寒い冬でもシャワーを浴びたり、トイレで脇の下を洗ったり拭いたり、デオドラント剤も使用した。

自分はどのくらいクサイのだろうか…。勇気を出して家族や友だちに聞いてみると、「大丈夫だよ」「くさくないよ」と言われた。その言葉に、中道さんはショックを受けた。当時の心境をこう振り返る。

「本当にくさくなかったと思うんですが、私はせっかく勇気を出して聞いたのに、気を使われた、ウソつかれたって思ってしまいました」

すべてを後ろ向きに捉えてしまう中道さん。どうしていいかわからなくなり、「死にたい」と思ったこともあるという。

そんな中道さんの考えが180度変わる出来事が起きる。