■世界的な食糧価格の上昇 ロシアは“世界経済を人質”に…
南波キャスター:
ウクライナからの穀物の輸出については、ゼレンスキー大統領が5月30日のビデオ演説で、「ロシアが黒海の港を封鎖して、アゾフ海沿岸の一部を占領したため、国内にある2200万トンの穀物の輸出ができない」と話しました。
さらにこれだけではありません。ゼレンスキー大統領は「ロシアの占領者が少なくとも50万トンの穀物を盗み、違法に販売しようとしている」ということも主張しています。
ホラン千秋キャスター:
穀物の輸出について議論が続けられているようですが、この話題が今話し合われて
いるのはなぜでしょうか?
笹川平和財団 主任研究員 畔蒜泰助氏:
先日のダボス会議でも、まさにこの問題が大きな議論になりました。特に、世界的に今、食糧価格が大きく上昇していることが大きな背景としてあると思います。
ホランキャスター:
プーチン大統領は、様々な首脳と電話会談を行っているということですが、ロシア側としてかなり経済的に追い込まれている状況の表れなのかどうか、どう見るべきでしょうか?
畔蒜氏:
今ロシアが経済制裁をかけられて、決して状況が万全ではないことはもちろんそうです。一方で今、世界的に食糧価格が大きく上がっている中で、ロシアがまさにウクライナの流通を阻害できる、あるいはロシア自身も穀物を持ってるということ、言ってみれば世界経済そのものをロシアがある意味、人質のような形をとって、西側諸国に揺さぶりをかけているという状況ではないかと思うんですよね。
ホランキャスター:
強気なんですね。
畔蒜氏:
そうですね。
井上貴博キャスター:
4月下旬辺りから国内の資金が尽きて、攻撃を続けたくても続けられないのではないかといわれているなかで、ずっと変わらない状況が続いていますが、この資金についてはどう見ていますか?
畔蒜氏:
残念ながら依然としてまだ、特に欧州への世界的なエネルギーの販売が続いています。今回石油に関しては、だいぶ欧州がロシアから購入を削減すると合意できたわけですが、まだガスも続いているということで、ロシアの軍事作戦を止めるほどの決定的な打撃を与えるまでには至ってないというところだと思います。