「人間には平等に何かを楽しんだり経験する権利がある」
ウーバー配達員の棈松怜音さん。閉店後の日本料理店で片付けのアルバイトもしている。
調理師免許を持ち、かつては料理人として接客もしていた。患者の中には、年齢とともに症状が和らぐ人もいるが怜音さんは、そうではなかった。
怜音さん
「お客さんは“静かに食事をしたい”人もいるので、そこは考えながらこのポジションにいますね」
怜音さん行きつけのミュージックバー「LINKS BAR」。

音楽が鳴り響くこの空間は、「大きな声」をかき消してくれる安らぎの場だ。店のオーナーはナイジェリア人のエディ・エバデダンさん。
怜音さん
「声が出たり、動いたりするんだけど、ナイジェリアにもいる?そういう人」
エディ・エバデダンさん
「いるよ」
怜音さん
「いじめたりしない?」
エディ・エバデダンさん
「いじめたりしない。もし誰かいじめたら大勢の人が助けてくれる。それは(日本と)全然違うよ。自分の国は“愛情の国”だから」
怜音さん
「みんなに愛されたいし嫌われたくない。どうやったら人に好きになってもらえるか考えてる」
怜音さんには、いつか叶えたい夢がある。

怜音さん
「例えば、ラーメンも大好きだし、和食も大好き。だけど声が出ちゃうから行けない。だけど、それでも人間には平等に何かを楽しんだり経験したりする権利がある。だからそれを平等に感じてもらうためには、僕がトゥレット症・チック症の人も来られるような飲食店を作って、そこで全力で楽しんだりとかしてもらうことが、全てにおいてプラスでしかない。だから絶対それを叶えたい」
(後編に続く)