「普通に生きるのに困ります」「美容院とか地獄」

怜音さんと同じ悩みを持つ人は全国にいる。「トゥレット当事者会」。年に4回、患者やその家族が集まり、悩み相談や情報交換を行っている。

20年近く悩み続けている女性。明るい未来が描けないという。

ののかさん(20代)
「普通に生きるのに困ります。電車もあんまり乗りたくないし飛行機とかもしんどかったり、美容院とか地獄ですよね。動けないじゃないですか」

藁をもすがる思いで治療に訪れたアメリカ。その時の治療は、専用のマウスピースを装着するというもので、当時日本では行われていなかった。

ののかさんは装着している間、叫んだり首が動く症状などが少なくはなったが、病気は今も治っていない。

ののかさん
「身体が動くとか(自分を)殴りたくなる衝動を小さな動きにして逃がしている」 

最近は動きたくなる衝動を、小さく足をバタつかせることで、逃がすという。まわりに気づかれないよう工夫しているが…

ののかさん
「幼い頃は親が助けてくれたりして幸せに暮らせていたけど、この歳になるとこれから先どうやって生きていこう…」

手術を受けた男性も。

男性(30代)
「迷惑をかけないように手を縛っています。手を縛っているんですよ実は。手が出ないように」

男性の母親
「手が出ちゃいますから。縛っている。手を動かないように固定している」 

中国に渡り、鍼治療を試したものの、症状は改善せず。その後男性は、脳に電気的な刺激を与えるDBS(脳深部刺激療法)という手術を受けたが、それでも治らなかった。

トゥレット症患者は、1000人に3人から8人いると推測されている。治療法が確立していない背景には医療機関側の課題もあった。

東京大学医学部 金生由紀子准教授
「科で言うと精神科と神経内科と小児科とDBSなら脳外科が重なっている。『うちのメインだから頑張ってやりましょう』という感じでもない。医療側の都合…都合というと変ですけど」