憲法9条は「完全に死んでいる」 元法制局長官

なし崩し的に、防衛力強化に突き進む高市政権。憲法9条のもと、どこまでが許されるのか。

政府の法案の妥当性を審査する内閣法制局で、2006年まで長官を務めた阪田雅裕氏は…

元内閣法制局長官 阪田雅裕弁護士
「日本は武力による平和を希求しないんだと。先の大戦で戦争の悲惨さ、無意味さを嫌になるほど痛感した。『戦争の放棄』を憲法上の国是としてうたった。国のありようを変えるということであれば、まずあり方を決めた憲法を変えて、それから事実を整備していくというのが法治国家の手順のはずだが、事実でもって憲法を覆していくというのは、法秩序を無視している。(国際法を無視した)プーチンのロシアがやっていることと、実はあまり変わりがない」

政府は10年前、憲法9条が禁じていた集団的自衛権の行使を、安保法制の強引な採決によって可能とした。

さらに、2022年には閣議決定のみで敵基地攻撃を可能とする「反撃能力の保有」にまで踏み込んだ。そして今、防衛力をかつてなく強化しようとしている。

元内閣法制局長官 阪田雅裕弁護士
「アメリカはできても、日本はこれができないというところを、はっきりさせるということをしないと、際限なく何でもできる国に、これからなっていく気がする」

ーー憲法9条はどういう状況にある?
「完全に死んでいると思う。法規範としては全く機能していないと言っていいんじゃないか」