松井秀喜「別にマウント取ってるわけじゃないですよ(笑)」
Q.ドラフトの直前に、誰が指名されるみたいな報道が出始めて、当日までの気持ちって覚えてますか。
イチロー:直前は体育の授業で、バスケやってたんだよね。(プレー中に)同級生の歯が僕の肘に当たって、流血したのね、結構な量。 で、歯が折れてた。
松井:それドラフト当日ですか?
イチロー:ちょっと前なんですよ。いやこれで「けが人か」っていう評価になるのは、すごい怖かった記憶があるの。(ドラフト)当日はもう授業をさぼって待ってる状態。待ってるっていうのは、よくあるメディアを入れてセッティングされたものじゃなくて。そんな立場にはなかったから。
松井:ここにいたんですか?家ですか?
イチロー:学校にいた。 がら空きの教室で、3人ぐらい残って遊んでた。体育の授業中だったから、みんなそれ以外は体育館に行ってて。そうしたら、何でさぼってるのかを知ってたのかは不思議なんだけど、 教室に倉野監督(当時コーチ)が、「オリックスドラフト4位だから」って。「え、俺、体育の授業やってるはずなんだけど、なんでここに来たんだろう」っていう不思議はあった(笑)

松井:ばれてたんですよ。
イチロー:練習しないやつだから俺。授業もやってないだろうと思われてる。
Q.希望球団はどうだったんですか。
イチロー:希望球団は全くないですよ。それはコントロールできないものだから、もう「とにかくプロに」って気持ちだった。 何位でもよかったし。
Q.地元の中日だったら、やっぱり嬉しかったっていうのはあるんですか。
イチロー:どこでも嬉しかった。
Q.松井さんはどんな気持ちで迎えた?指名されるのがわかってて、どこの球団かっていう関心の持ち方ですか?
松井:頭の中はクジでどこにどう引かれるかって、もうそれだけですよね。すいませんなんか・・・別にマウント取ってるわけじゃないですよ(笑)
イチロー:ナチュラルに取ってるからそれ(笑)でもそうだもん、実際ね。
Q.阪神ファンっていうのは有名ですけど、どのくらい願うもんなんですか。阪神ならいいなとか。
松井:例えば2球団ぐらいだったら、そう思ったかもしれないですけど、 4球団だったんで。なんかもうほぼそういうのもなく、もう決まったとこにいくっていう、ただそれだけですよね。
イチロー:行かないっていう選択肢もあったの?
松井:ないです。やっぱりタイガースファンだったんで、タイガースっていうのはありましたけど、でもすぐ切り替わりましたね。
イチロー:阪神に行ってたらどんな感じになってたんだろうね。
松井:いやある意味怖いですけどね。まず長嶋さんと出会ってなかったし。甲子園で左バッターって、ホームランバッターには若干不利かなって。 当時はラッキーゾーンもなかった。 風もほぼいつも逆風でしょ。だから、そういう意味でもだいぶ違った野球人生だったのかなと思いますね。
Q.巨人っていうのは、どう受け止めたんですか。
松井:地元が石川の田舎だったんで、巨人戦しか中継がないし。 だから1軍に行って試合に出れば、毎日見てもらえるっていう。それはすごくプラスに思いました。そういう意味では、ジャイアンツっていう環境は、自分もラッキーだったなと思いますね。