◆A級戦犯死刑執行のために絞首台増築

東京裁判での東條英機元首相(米国立公文書館所蔵)

死刑判決から9カ月、北田が再審での減刑に希望を寄せて日々を過ごす中、その年の12月、A級戦犯7人の死刑が執行される。

<第五棟 北田満能(「七人を偲びて」1951年より)>
かくして、再審による減刑を唯一の希望として生きた約一年の死刑囚生活、勿論万一の場合を考えて熱心に人生の解決に努力もした。五棟から一時、一棟に移動した時、増築されつつある絞首台を見て言い知れぬ淋しさを味わったこともある。そして間もなくA級の死刑が執行されたのである。

明けて二月、待ちこがれた再審の結果が発表されて、二十三名が終身刑から無罪にそれぞれ減刑されて出て行った。残る者は十三名。こうなるといよいよ深刻である。外ではあらゆる手段をつくして減刑の手続きをしていて下さると聞くものの、実際のところあてにはならぬ話である。そのうちに古い人達は次々に死刑が執行されてゆく。