交通事故で15歳の長男を亡くした父親が、全国の学校で、事故の悲しみやヘルメットの重要性を伝えています。自転車購入時に買わなかったヘルメット。安全運転も、ヘルメット着用も「大人の責任」と語ります。【前編/後編の後編】

「トラックと自転車の衝突事故のお話をします」

愛媛県松山市在住の渡邉明弘さんは、今から11年前、高校1年生の長男・大地さんを交通事故で亡くしました。

学校が午前中で終わったその日、自転車で学校から帰宅中だった大地さんは、家の近くの交差点で、時速50キロで走っていたトラックにはねられました。

大地さんは、横断歩道から20m飛ばされて地面で頭を強く打ったといいます。ヘルメットは被っていませんでした。

救急車で病院に搬送されましたが、事故から5時間後には心臓が止まり、大地さんは一度も目を開けることなく、亡くなりました。

父の明弘さんは、事故の悲しみやヘルメット着用の重要性を、全国で訴え続けています。これまでに中学校や高校で行った講演は90回ほど。明弘さんが、生徒たちに必ずかける言葉があります。

▼渡邉明弘さん
「交通事故の話を聞いて、息苦しくなったり、気分が悪くなったら、我慢せずにすぐに体育館の外に出て休んでください。落ち着けばまた戻ってくればいいです。今回、トラックと自転車の衝突事故のお話をします。もしご家族がトラックの運転手をしているという生徒さんは、自分の家族が責められているような気持ちにはならないでください。私は安全運転している多くのトラック運転手の方に感謝をしているということを先にお伝えしておきます」

こうした配慮は、6年前、初めて人前で息子の死について話した時の経験からきています。その時の会場は大地さんが通った高校でした。